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さて、先日「地方創生カレッジ」の受講報告(12)をアップしました。その中で触れた「田園回帰1%戦略」について、今日は注目します。
実は、当ブログの以前の記事で、「田園回帰1%戦略」についてアップしたことがあります。その内容を復習してみます。
地域再生策「田園回帰1%戦略」とは?
「田園回帰1%戦略」とは、島根県立大教授の藤山浩さんが、1998年以来取り組んできた成果です。
その内容は、人口減、超高齢化に悩む中山間地や離島で定住人口を増やす戦略で、「田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す」という書籍に詳しいです。
その中で、藤山教授は次のように指摘しています。
「これまで自治体は『外貨獲得』に重きを置き、大企業誘致、観光客誘致、特産品開発に取り組んできた。こればかり狙ってはいけない。」
そして、「田園回帰1%戦略」を掲げ、次のような取り組みを主導してきました。
毎年その地域人口の1%を増やす。人口5千人の村なら、50人の移住者を受け入れる。そうすれば30年後には現人口の9割以上を保て、高齢化率も下がる。
500人の地区でみれば目標は5人。子ども連れの家族なら1〜2家族で事足りる。
これは、若者の田園回帰が田舎で進む現象をとらえた戦略。空き家補修や仕事の斡旋(あっせん)など、地域が率先して受け入れ環境を整える。
さらに、域外から購入していたモノやサービスの金額1%分を自分たちの域内で調達すれば、地域は維持できる。
島根県の実績
「田園回帰1%戦略」を推進してきた島根県は、出生率の高さが全国2位、県庁所在地の松江市は住みやすさが全国1位です。
また、島根県内においては、2008年〜2013年の5年間で1人以上人口が増えた地域が73と、全体の3分の1以上を占めています。
なお、島根県は全国47都道府県の中で、面積では19位ですが、人口では46位、人口密度でも43位です。(こちらのデータ参照)
また、「田園回帰1%戦略」を実現すべく、浜田市で取り組んでいる「シングルマザーの移住支援策」、邑南町 (おおなんちょう) が取り組んでいる「子どもがいる親に対する支援策」など、県内でさまざまな移住支援策が実施されています。
その結果、「週刊ダイヤモンド」(2016.3.26号) の特集にある移住希望地ランキングでは、島根県が2013年は圏外だったのが、2014年には8位、そして2015年に3位にランクインしています。
毎年1位、2位を競う長野と山梨、4位に浮上した静岡は中高年に人気。
注目すべき島根ですが、上記3県とは対照的に、圧倒的に若者の移住希望が多く、20代、30代で50%以上を占めているとか。
よそ者が定住するには現地の受け入れ体制が大切ですが、島根県はその体制が全国でも進んでおり、また県民が移住者と付き合うことに慣れているそうです。
島根県は匹見町という山間地で40年以上前に『過疎』という言葉が初めて生まれた県なので、人口減少に歯止めをかけなくてはという危機感が昔からあったのです。
最後に
「田園回帰1%戦略」を提唱してきた藤山教授は、全国の「山間地域」についても「1%戦略」は有効としています。
下図は、藤山教授が作成した「田園回帰の現状と戦略 〜人口と所得の1%を取り戻す〜」という資料から引用した図です。
「地方創生カレッジ」受講報告(12)に記載しましたが、RESAS (地域経済分析システム) を活用して、地域・集落単位でもデータに基づいた分析を進め、地域内の経済循環構造を確立し、道府県・市町村単位でさまざまな移住促進策を講じていくことが、地方創生にはとても重要だと思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
では、また!
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(2017.2.7記)