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さて、『今日の一言メモ』第924回です。
「口は禍の門」
「口は禍の門」(くちは わざわいのかど)とは、不用意な発言は身を滅ぼす要因になるから、言葉は十分に慎むべきだという戒めです。「門」は「もん」とも読みます。今は、「口は災いの元」の方が一般的でしょうか。
何気なく言った言葉が元で災難を招き、身を滅ぼすこともあるから、ものを言うときには慎重に言うべきだという意味です。
『古今事文類集・後集』に「口は是れ禍の門、舌は是れ身を斬るの刀なり」(うかつなことを言うと禍が起きる、舌は槍よりも多く身を傷つける)とあるのに基づくそうです。
ついついポロッと言ってしまう言葉たち
古来、類義の言葉は、「言わぬが花」「物言えば唇寒し秋の風」「雉も鳴かずば打たれまい」「沈黙は金、雄弁は銀」などたくさんあります。つまり、昔から言葉で失敗した例がたくさんあるということでしょう。
ついつい本音が出て、人の欠点を批判したり、思わず自分の長所を自慢したりした後は、必ず言わなきゃよかったという自責の念にとらわれるものです。
口を開くと秋の冷たい風が唇に触れて、寒々とした気分になることから、「物言えば唇寒し秋の風」と言われるようになったのです。
まあ、そうした舌を噛みたくなるような失敗をいくつも経験して、人生の年輪を重ねると、言わないでもいいことは言わなくなってきます。
人が口にした(SNSにアップした)言葉は、柳に風と受け流す
匿名で発信できるSNSの普及で、心ない言葉がいとも簡単に人の心を傷つけることが日常茶飯事になってきました。時には、人を死に追いやるという悲惨な事態を引き起こします。
そうした事態を受けて、インターネット上の誹謗中傷対策を強化するため、侮辱罪の法定刑の上限を引き上げる改正刑法が、2022年6月13日の国会で可決、成立しました。改正前の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」で、刑法上最も軽いものでした。
それが、今回の法改正によって「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」となり、公訴時効も1年から3年に延びています。刑の種類や名称の変更は1907年の現行刑法制定後、115年間で初めてだそうです。(こちらの記事参照)
面と向かっていれば、とても口にできないであろう言葉も、SNSではネットの匿名性に守られて平気でアップされてしまいます。いわば自分は塀の内側に隠れて、外側の人間に石を投げつけて傷つけるような卑劣な行為です。今回の厳罰化は当然と言えるでしょう。
また、直接聞かされる言葉でも、無神経なものがあるでしょう。時と場所を考えて口にしてよ、と思わず言いたくなります。
でも、そんな時は聞こえなかったフリをして、柳に風と受け流すのが得策だと思います。そして、さっさとその場を離れて忘れてしまうことです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2022.6.20記)