「今日は何の日?」シリーズ第76弾です。
今から36年前、1978年9月26日に、東芝が世界初の日本語ワードプロセッサ「JW-10」を、第6回データショウで発表しました。そして、これに由来して9月26日は、「ワープロ記念日」となったのです。
「JW-10」はワープロ専用機
今では、パソコンにワープロソフトをインストールして使うのが、ごく当たり前ですが、初期のパソコンは処理能力が低く、日本語を扱うには無理があったため、長らくワープロ専用機が使われてきました。
そして、初代日本語ワープロ「JW-10」は、なんと価格が630万円もしました。
重さは220kg。冒頭画像にある通り、片袖机ほどの大きさの筐体に、キーボード、ブラウン管、10MBのハードディスク、8インチフロッピーディスクドライブ、プリンターが収められていました。
開発当初は、普及を疑問視されたこともあったようですが、JW-10の開発によって培われたかな漢字変換の技術は、その後日本語入力システムの全てにおいて当然のように使用されるようになっていったのです。
また、東南アジアの諸言語のワードプロセッサの開発にも応用されたそうです。
「JW-10」の漢字変換方式
キーボード部分は、次のようになっています。
JW-10の漢字変換方法は、現在のような文章から文節を自動で判別する方法ではなく、文節を手動で入力する方法でした。
また、現在一般的なローマ字漢字変換ではなく、かな漢字変換であることがキーボードを見ると分かります。
かな漢字変換には2種類の方式があって、一つは「文節指定入力」もう一つは「漢字指定入力」でした。
文節指定入力は、各文節ごとにユーザーが文節ボタンを押すことで、日本語の文節を決定する方法です。
一方、漢字指定入力は、漢字変換したい部分の前に漢字キーを押し、漢字変換しない部分の直前にかなキーを押して変換箇所を選択する方法です。
例として「今日は良い天気です」という文章を変換する場合は、次のように入力します。
(文節指定入力): キョウハ [文節] ヨイ [文節] テンキデス
(漢字指定入力): [漢字] キョウ [かな] ハ [漢字] ヨ [かな] イ [漢字] テンキ [かな] デス
変換方式にも2種類あって、文節入力あるいは漢字入力ごとに逐次変換する「逐次選択」モードと、文章を打ち終わってから一気に変換する「一括選択」モードがありました。
また、同音異義語等で機械では確定できないような場合は、その箇所が点滅し、正しい文字を選択・決定するという方法がとられていたそうです。
・・・というわけで、富田が新入社員だった1978年に、当時の初任給の60倍以上するワープロ専用機が登場していたのですね。超高級な外車が買える値段です。
もちろん、会社にもすぐ普及したわけではありません。やっと会社に導入されたのも、確か100万円台くらい値段が下がってからだったと記憶しています。
その後、1985年になって小型化したポータブルワープロRupoが発売され、広く普及していったのです。
性能的には、今のタブレットで使うワープロ機能の何十分の一だったかもしれません。
わずか30数年で、ここまで進化したことに改めて驚いた、9月最後の華金の朝なのでした。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2014.9.26記)