さて、「今日は何の日?」シリーズ第143回をお送りします。
今から20年前の1994年12月28日に、自衛隊のルワンダ難民救援派遣が終了しました。
自衛隊の海外派遣
これまでの自衛隊の海外派遣は、国際平和協力法に基づく国連のPKO活動を中心に、復興支援、地雷・機雷などの除去、災害救助、アメリカ軍の後方支援などを目的としてきました。
自衛隊は、設立当初より日本国憲法第9条の制約があり、専守防衛のための「必要最少限度の実力」として整備が進められた経緯があります。
海外展開能力は、それを超えるものとして忌避されていて、政府としても海外展開を行なわないようにしてきた経緯があります。
それから時は過ぎ、冷戦の終結や国民意識の変化などもあり、1991年 (平成3年) に自衛隊の任務として初めて、掃海部隊の自衛隊ペルシャ湾派遣を行うこととなりました。
これをきっかけに、武力紛争に巻き込まれる恐れが少ない地域を中心に、救難、輸送、土木工事などの後方支援(兵站)や司令部要員などへ非武装ないし軽武装の要員・部隊を派遣するようになったのです。
ルワンダ難民救援派遣
この派遣は、国連のPKO活動としての部隊としてではなく、国際平和協力法に基づく、日本主体の人道的な国際救援活動としては最初の例でした。
派遣隊員の武装は、それまでの拳銃・小銃に加えて、機関銃1挺及び82式指揮通信車1両が認められましたが、機関銃の携行については、海外で自衛隊が武力行使をする可能性や、PKO協力法の適用範囲を超えるものとして国会で大いにもめたことを記憶しています。
現地で、日本人の医療NGO (AMDA) 構成員が武装集団の襲撃に遭った事件が起こり、現地指揮官の判断によりNGO構成員の輸送が行われたことがありました。
この輸送は、自国民救援のための出動でしたが、このような状況対応について、国際平和協力法や実施計画には明文化された規定がなかったため、一部マスコミ (主に左派系報道機関) から批判を浴びました。(黙って見ていろ、ということなのでしょうか…)
後日、部隊の指揮官は、報道番組で「自国民を救助して批判されたのが辛かった。」と発言したそうです。
憲法第9条との自己矛盾
「平和憲法」と呼ばれる現行憲法ですが、「不戦の誓い」は是非とも守らなければなりません。戦争は大量殺人を意味します。ですから、なんとして戦争だけは避けなければなりません。
一方で、戦後まもなく70年が経とうとしている現在、国際情勢も自衛隊の活動も大きく変わっています。
敗戦後にアメリカをはじめとする戦勝国の意向で定められた現行憲法です。それが、70年近く一度も改正されていないのが、むしろ不思議でしょうがありません。
第三次安倍政権が発足し、年明けの通常国会からいよいよ安全保障関連法に関する議論がスタートします。
そんな中で、憲法第9条との自己矛盾を抱えたままの自衛隊の立場を放置し続けることは無責任ではないでしょうか。
さまざまな災害救助の場面で、国際平和に貢献する場面で、命懸けで使命を全うしている自衛隊には、きちんと拠って立つところを得て欲しいと願っています。
・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた。
・・・・・・・・・・・・
(2014.12.28記)