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さて、最近は高齢者が運転する車の事故が頻発しているかの如く、ニュースで採り上げられています。
確かに、認知症に気付かないまま高齢者が車を運転することには、対策が必要でしょう。
ただ、そうした一部の高齢者の事例を採り上げて、総じて高齢者が運転することの危険性を喧伝することは、誤った「一般化」ではないでしょうか?
誤った「一般化」とは?
これは、以下のような論証形式の推論をした場合のことを言います。
A は X である。
B も X である。
C も X である。
D も X である。
したがって、いかなる場合も X である。
例えば、次のような推論はどうでしょうか?
月には動植物は存在しない。
水星も同様である。
金星も同様である。
火星も同様である。
よって、地球以外に動植物が存在する星はない。
という論証は、膨大な天体の数から考えてあまりに示された例が少数です。また、太陽系以外の天体について確認の方法がないので、早まった一般化と言わざるを得ません。
高齢ドライバーの事故は、20代より少ない
一方で、警察庁のデータを示して、「高齢ドライバーの事故は、20代より少ない 意外と知らないデータの真実」という記事がアップされていました。
その記事によると、実際に統計上、高齢ドライバーによる死亡事故の件数は増加しているものの、高齢化の進展により、65歳以上の人口が増えているので、それはある意味当然だと指摘しています。
そして、以下のグラフを示して、全体としてこの10年で、交通事故が減っていること、その中でも、高齢ドライバーが起こす交通事故は、16〜19歳代と20〜29歳代より少ない、と指摘しています。
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さらに、死亡事故に限定した場合は、80歳以上で確かに多いものの、16〜19歳代が最も多いことが示されています。
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ということで、高齢者の交通事故を特に採り上げ、ニュースなどで報道することにより、「高齢者の運転は危険である」という誤った「一般化」がされているように感じます。
最後に
今のような報道姿勢により、元気な高齢者 (65歳以上) まで運転することに肩身が狭い思いをすることは間違っていると思います。80歳以上になったら、考える必要がありますが…
特に、地方で暮らす高齢者の方にとって、車を運転することは、自立した生活を送るための生命線です。
また、都会に住んでいても、車を運転できないことで、めっきり行動範囲が狭くなり、悪くすると自宅に引き籠もり、鬱症状から認知症へと至ることも考えられます。
そうした元気な高齢者から、年齢だけを根拠に運転免許証を取り上げるようなことはしないで欲しいと思います。
定期的、かつこまめな検査を受けるなどの必要はあると思いますが、車の運転に必要な身体能力を維持していることが証明されれば、高齢者でも堂々と運転ができる世の中であって欲しいと願う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.11.24記)