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さて、「今日の一言メモ」第427回です。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」
この格言は、誰もが知っているのではないでしょうか?
欲を出して同時に二つのことをうまくやろうとすると、結局はどちらも失敗することの例えですね。二つの物事を欲ばると、どちらも失敗したり、中途半端に終わるものである、という西洋のことわざです。
また、一つの物事に集中せずあちらこちらに気を取られることへの戒めの意味を込めて使うことも多いようです。
マルチタスク?シングルタスク?
確かに生きた兎を追うとなると、一度に二匹を追うことは現実的ではないですね。ただ、現代の技術進歩は著しいものがあります。複数のドローンを駆使して、自動検知レーダーにより二匹どころかもっと多くの兎を同時に追うことなど容易かもしれません。
そこまでいかなくても、PCの性能向上により、マルチタスクが当たり前になりました。ただアプリを切り替えて使うだけだと、厳密には並行処理ではありませんが、今のPCなら自動で複数の処理系統を同時に動かして完全なマルチタスクが可能です。
一方、人間の場合は身体が一つなので、いっぺんに複数のことはできません。でも、世に料理の得意な方は多いと思いますが、あの段取りの良さは敬服に値します。
複数の料理を完成のタイミングを合わせて準備していく様子は神業かと思ってしまいます。無意識に手を動かしながら、頭では次なる手順を瞬時に組み立て、料理をすると同時に使い終わった調理器具を素早く洗い、料理が出来上がったときには殆ど片付いています。
鍛錬の賜物だと思いますが、その境地に至るまでには長い時間が必要だったと思います。料理に限らず、その境地を極めれば、限りなくマルチタスクに近い動きができると思います。
「鍛錬」=千日の稽古 (☞「鍛」) + 万日の稽古 (☞「練」)
かの有名な剣豪・宮本武蔵が著した兵法書である「五輪書 (ごりんのしょ) 」には、「鍛錬」について書かれた言葉があります。
千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす
千日の稽古で技を習得し、万日の稽古でその技を練り上げる、という意味です。1,000日といえば3年弱、10,000日といえば28年弱という長い期間です。
転じて、一つの技を完全に自分のものにするには、ひたすら毎日繰り返し稽古に励むしか道はないという教えになっています。
なので、何事も1年や2年でモノになるなどと不遜なことを考えず、しっかり地に足をつけて5年、10年単位で取り組む必要がありそうです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
では、また!
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(2020.5.19記)