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さて、「今日の一言メモ」第488回です。
「鞍上人なく、鞍下馬なし」
鞍上(あんじょう)人なく、鞍下(あんか)馬なしとは、乗り手が馬を巧みに乗り回し、一体となって疾走するさまを指しています。また、乗馬に限らず巧みな操作ぶりを称える場合に使います。
「鞍」は、牛などの背に固定して、人や物を乗せるための道具なので、人と馬の呼吸が合い、鞍の上の人と鞍の下の馬が一体となって見える様子からこう言われるようになりました。
「鍛錬」
「鞍上人なく、鞍下馬なし」と言われるほど、自分の知識や技能を自在に使いこなすには、相当の鍛錬が必要です。
なぜなら「知っている」「分かっている」と「やっている」「できている」の間には雲泥の差があるからです。
何かに秀でるためには、これだけのことをしなければいけない、と言われて「ああ、それなら知っている」と答える人は大勢いますが、「それなら毎日毎日繰り返しやってます」「ちゃんとできています」と答えられる人は、ほんの一握りでしょう。
このブログで繰り返し紹介していますが、かの有名な剣豪・宮本武蔵が著した兵法書である「五輪書 (ごりんのしょ) 」に「鍛錬」について書かれた言葉があります。
千日 (せんじつ) の稽古 (けいこ) を鍛 (たん) とし、万日 (まんじつ) の稽古を練 (れん) とす
千日(約2.7年)の稽古で技を習得し、万日(約27.4年)の稽古でその技を練り上げる、という意味です。
転じて、一つの技を完全に自分のものにするには、ひたすら毎日繰り返し稽古に励むしか道はないという教えになっています。
英国生まれのマルコム・グラッドウェル氏の著書『天才!成功する人々の法則』(講談社、2009年)にある「1万時間の法則」も有名ですね。
ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、10000時間もの練習・努力・学習が必要だという内容です。例えば、1日8時間、年間240日取り組むと、1年で1920時間になります。10000時間に達するには約5.2年の月日が必要です。
というわけで、数ヶ月や1年ぐらい取り組んでも「鞍上人なく、鞍下馬なし」と言われるようにはならないことを肝に銘じて、鍛錬に励みたいと思うのです。
人生100年時代となっても、生涯、修行の道は続きます。
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さて、今日はここまでにしましょう。
では、また!
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(2020.7.27記)