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さて、「今日の一言メモ」第518回です。
「換骨奪胎」
「換骨奪胎」(かんこつだったい)とは、先人の詩文や文章の作意・形式を取り入れながら、独自の工夫を加えて新しい作品として作り上げるという意味です。
骨を取り換え、胎(子宮)を奪い取り、自分のものとして使うという意味からこう表現されています。
中国の逸話集である『冷斎夜話』に、「然れども、その意を易えずしてその語を造る、これを換骨法と謂い、その意を窺い入れてこれを形容する、これを奪胎法と謂う(意味を変えずに言葉だけを新しいものに作り変えることを換骨法といい、その意味を手本にして少し変えて表現することを奪胎法という)」とあるのに基づくそうです。
単なる「焼き直し」「模倣」「二番煎じ」といった意味で使うのは本来誤りですが、現在では許容されているとか。
アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ
「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング著)という名著があります(1時間ほどで読めてしまいますが……)。この中で著者は、「人はどのようにしてアイデアを手に入れることができるのか」という疑問に正面から答えようとしており、2つの原理をあげています。その1つ目が次の原理です。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
2つ目の原理は次の通りです。
「新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する」
梅沢忠夫氏は、その古典的名著「知的生産の技術」の中でこう書いています。
カードの操作のなかで、いちばん重要なことは、くみかえ操作である。知識と知識とを、いろいろにくみかえてみる。あるいはならべかえてみる。そうするとしばしば、一見なんの関係もないようにみえるカードとカードのあいだに、おもいもかけぬ関連が存在することに気がつくのである。
野口悠紀雄氏は、「『超』発想法」の中でこう書いていました。
新しいアイデアは、すでに存在しているアイデアの新しい組み合わせや組み換えで生じる。この意味で、どんなに独創的に見えるものでも、従来からあるものの改良なのだ。
新たなアイデアを生み出すために、柔軟な頭を維持する
新たなアイデアを生み出そうとして、既存の要素を組み換えようとしたとき、それぞれの要素について「思い込み」や「固定観念」があると、新たな発想の障害になってしまいます。
アイデアは、既存の要素をさまざまに組み合わせていかなければいけないのに、この要素にはこういう意味しかない、と思い込んでしまっては、折角持っているはずの可能性が奪われてしまいます。
さまざまなことを思い浮かべて、それが固定化された形ではなく、アメーバのように変形しながら有機的に結びついていく、そんなことができる柔軟な頭にしていかなければなりません。
年齢を重ねていくと、頭が固くなっていくのは共通する悩みかもしれません。それでも、小さな子どもが「なぜ?なんで?」と質問を重ねるごとく好奇心を失わずにいることで、柔軟な頭を維持していける気がします。
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さて、今日はここまでにしましょう。
では、また!
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(2020.8.30記)