さて、これまでこのブログで、「終活」を中心に据えたプロジェクトを進めていることを何度か書いてきました。
その活動の一環として、昨日は特別養護老人ホームの理事長をされているMさんとお目にかかることができました。今日は、そこで感じたことについて書いてみます。
介護保険制度について
若い世代の方々はピンとこないと思いますが、会社員の方々は満40才になると、それまで給料から天引きされていた厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料等に加えて介護保険料も天引きされるようになります。
この介護保険料は、今から14年前に「介護保険制度」が施行されてから徴収されるようになりました。
健康な方であれば、一定年齢に達すれば公的年金の支給が始まります。ただ、高齢化社会が進むと、介護を必要とする方も増えてきます。
以下、厚生労働省老健局総務課が纏めた「公的介護保険制度の現状と今後の役割(平成25年)」を参考に見てみます。
介護保険制度スタートがスタートする前は、以下の問題がありました。
- 市町村の行政窓口に申請しなければならない
- 医療と福祉を別々に申し込まなければいけない
- 特別養護老人ホームやホームヘルパーさんを利用するには負担が重く利用しにくい、etc
そして、介護保険制度は以下の改善を目指してスタートしました。
- 利用者が自らサービスの種類やサービス提供者を選べるようになる
- 医療・福祉のサービスを総合的に利用できる
- 特別養護老人ホームやホームヘルパーさんの利用料は所得に拘わらず1割負担で済む(上がる予定)、etc
介護保険制度がスタートして以降、利用者が受けられる介護保険サービスの体系は概略以下のようになっています。
- 訪問系サービス・・・ホームヘルパーさん等
- 通所系サービス・・・デイサービス等
- 短期滞在系サービス・・・ショートステイ等1日単位で利用
- 居住系サービス・・・有料老人ホーム等
- 入所系サービス・・・特別養護老人ホーム等
こうしたサービスを受けるには、要介護認定手続きを経て、要支援1〜2・要介護1〜5という要介護度の認定を受けなければいけません。なおかつ、要介護度に応じて受けられるサービスや入所できる優先度等が異なってきます。
下のグラフは、2000年(平成12年)〜2012年(平成24年)の12年間の「要介護度別認定者数の推移」について示したものです。要介護度が低いほど、この12年間で増え方が顕著であることが分かります。
そして、「介護費用の見通し」を示したものが以下のグラフです。2025年には2012年対比で2倍以上になると、厚生労働省は試算しています。医療費の伸びを上回る数値です。
人生の終い方(しまいかた)を考えた
昨日、お会いしたMさんは、長く医療関係のお仕事をされた後、4年の準備期間を経て2年前に特別養護老人ホームを開所されたと話されていました。
施設の案内を拝見すると、特別養護老人ホームに抱いていた富田の従来のイメージとは大きく異なり、高級感とシックさがバランスよく調和した施設であると共に、浴室の浴槽が左右に可動式で、利用者の方の状態に合わせた入浴が可能など、細かいところに気を配った作りになっていました。
また、利用者2人当り1人のスタッフが配置されており、法的規制の3人当り1人に比較してかなり手厚い配置になっています。(大手介護施設に勤務している方の話でも、2.5人に1人でした。)
また、最期の「看取り」もできる体制を整えている等、利用者・家族の希望に沿うように努めておられました。
お話を伺うと、こうした施設の利用希望者はかなり多く、施設の供給が不足しているため、全国で50万人以上待機を余儀なくされている方がおられるとか。
また、公的助成金目当てに、ハウスメーカーや不動産業者など専門分野以外の企業が介護施設建設に乗り出しており、玉石混交となってきているとのこと。
・・・・以上の他、様々なご苦労もお聞きすることができました。
今迄知らなかった「介護」の世界について、現場で日々実践されている方のお話しをお聞きすることができたのは、大変貴重な機会でした。
そして、自分の「人生の終い方(しまいかた)」をどのように考えるのか、そして、それを家族に委ねるのではなく、しっかりしている内にきちんと自分の希望を纏めて、家族と話し合っておくことも大切だな、と感じたのでした。
Mさん、貴重な機会をありがとうございました!(^_^)
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さて、少し長くなってしまいました。今日はここまでにしましょう。
ではまた!(^_^)
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(2014.4.11記)