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さて、昨日は「“地方創生人材支援制度” で鹿児島県長島町に派遣され、副町長になった30歳の総務省若手官僚の活躍は瞠目に値する!(1)」というタイトルで記事をアップしました。今日は、その続きです。
注目すべき人物は、総務省から鹿児島県長島町に派遣されている井上貴至さん。
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2015年4月に、「地方創生人材支援制度」の第一号として派遣され、7月からは副町長を務めているという注目すべき人物です。
井上さんの経歴などは昨日の記事でご紹介しましたので、今日は注目すべき活躍ぶりを見てみましょう。
長島町は、消滅可能性自治体のひとつ
長島町は、日本創世会議の消滅可能性自治体のひとつにも掲げられています。
そして、町内には高校や大学がないため、遠距離通学を余儀なくされるか、全寮制の学校に入学するか、学校の近くに引っ越すか、という選択を余儀なくされていました。
そうした状況にある他の地域と同様、長島町では追加的な子育て費用がかるため、経済的事情により2人目、3人目の子どもを諦めることも珍しくありませんでした。
また、高校時代から町外に出るため、卒業後もほとんどが町の外で働くこととなり、若者人口の減少が続いているのです。
そうした状況で、井上さんはある解決策を考え出しました。
ブリ養殖世界一の町で始めた「ぶり奨学プログラム」
長島町は、鰤 (ブリ) 養殖世界一の町だそうです。漁協の正組合員が約350人、漁協の職員や加工するパートさん、運送会社などの関連産業まで含めると1,000人近くの人が鰤 (ぶり) 養殖で生計を立てているとか。
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井上さんは、世界一のブリ養殖の町であることから、「ぶり奨学プログラム」のアイデアを考え出します。
このプログラムは、町外に奨学金で進学しても、卒業後10年以内に町に戻ってくれば元金を町が創った基金から補てんするという画期的なモデルです。
ご存知かもしれませんが、ブリはモジャコ、イナダ、ハマチ、そしてブリと成長して戻ってくる回遊魚・出世魚です。
同じように大きくなって長島町に戻ってきてね、という願いを込めて、この名前にしたそうです。
町のみんなで基金を支える仕組み
「ぶり奨学プログラム」は、今年 (2016年) 4月から始まり、50人以上から申し込みがあったそうです。
過疎の町で、その資金を賄うため、まず、地元の鹿児島相互信用金庫と提携して、超低金利の奨学ローンを用意しました。
そしてもう一つ、町のみんなで支えようということで、漁協や養豚場からもお金を出してもらっています。
漁協からはブリが1本売れると1円で今年は209万円、養豚場からは1頭につき30円で、年間約200万円の寄付金になるとか。
全国には地元に戻ってきたら返済不要の奨学金が既にあるのですが、お金がかかるので続かなくなったり、モラルハザードの問題が起きてやめようかという話になることが多いようです。
その点、長島町のプログラムは、町のみんなで支えるので、長く続く仕組みだと言えるでしょう。
井上さんは、この仕組みは日本全国どこでも実施することが可能なので、どんどん同様の取り組みが広がればいい、と言っています。
町に戻った若者をどのように受け止めるのか?
返済不要の奨学プログラムを利用して、町に戻ってきても、その時に町が魅力的でなければ、早晩また町を出て行ってしまうかもしれません。
井上さんは、この課題にもある考えを持っています。
・・・今日も長くなってきましたので、続きは次回で。
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というわけで、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.7.20記)