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さて、「今日の一言メモ」第716回です。
「足るを知る者は富む」
足るを知る者は富むとは、満足することを知っている者は、たとえ貧しくとも精神的には豊かで、幸福であるということです。ここでいう「富む」とはお金持ちになるという意味ではなく、あくまで精神的に豊かになることを指しています。
人間の欲望にはキリがありませんが、欲深くならずに分相応のところで満足することができる者は、心が富んで豊かであるということを意味しています。
『老子』に「足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り」(満足することを知っている者は富者であり、努力している者は志ある者であると言える)とあるのに基づきます。
「Less is More」な生き方
「Less is More」という言葉があります。これは、ドイツの建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。彼は、ル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトと並ぶ、近代建築の三大巨匠の一人です。
もちろん「Less is more」は建築について語られた言葉ですが、「より少ないことは、より豊かなことだ」というキーワードは、「足るを知る者は富む」という言葉に通じます。
世界の国々の「幸福度ランキング」が発表されていますが、そのランキングで上位を独占しているのは北欧の国々で、日本は常に下位です。それは、アメリカ的な物質至上主義が幸福感に繋がらなくなったからではないか、と言われています。
物質至上主義とは、言い換えるならば、車や家をはじめモノや場所など、人と競って手に入れることを目指している生き方なのかもしれません。
そうした制約から解放され、自由に生きることを指す「Less is more」の精神は、人生を楽しむために、とても重要なことでしょう。
そういえば、本多直之氏の著作に「LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。」があり、以前読んだことがあります。とても示唆に富んだ内容でした。
他人と比較して、自分の人生を生きることをやめる
僕は、2019年の課題として「相対欲を手放す」ことを挙げました。(こちらの記事参照)
それは、以下のようなことです。
- 人には2つの欲があり、1つは「相対的な欲 (=1日も早く手に入れたい!)」であり、もう1つは「絶対的な欲 (=1日も早く始めたい!)」ということ
- 「相対的な欲」とは、他人との比較によって生まれた欲であり、地位や名誉、名声、金銭などに対する欲は、他人と比べて自分に不足していると感じている時に起きる
- 一方、「絶対的な欲」は、誰かと比べたからではなく、自分の中だけから自然と生まれてくるものであり、不足感は伴っていない。この欲は、単純にそれが好きだから手に入れたいし、それがやってみたいからできるようになりたいだけ
- 「計画の断捨離」を進めるためには、自分がゴールや目標として設定している事柄を客観的に見て、それらが「相対的な欲」と「絶対的な欲」のどちらから生まれたのかを確認することが必要
物質的な欲望は、キリがありません。例えば、50階建てのタワーマンションに住みたいと考えて、経済的に買えるギリギリの30階の部屋を手に入れたとします。当初は大いに満足するでしょう。
でも、そのうち50階に住んでいる人と比較して、自分もやっぱり最上階に住みたいと考えるのが「相対的な欲」です。
そうした相対的な欲を断捨離して、1日も早く始めたいことにフォーカスする「絶対的な欲」に忠実に生きることで「Less is More」の人生を実現し、人生の幕を下ろすときに振り返って満足するのではないか、と考えています。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2021.5.11記)