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閑話休題。
さて、今日7月6日は「サラダ記念日」です。
「サラダ記念日」
今から34年前の1987年 (昭和62年) に歌人の俵万智さんが発表した歌集『サラダ記念日』の次の一首から生まれた記念日です。
「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日は サラダ記念日
この歌集には、次の一首も収められていました。俵万智さんの自選百首にも選ばれています。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
日常のさり気ないシーンを女性らしい感性で切り取った一首ですね。
俵万智さんの歌に触れると、当たり前の日常、さりげない日常、何気ない日常の時間の中で、ごく普通の常識的なことを大切にしたいという気持ちになります。
俵万智さんの短歌
第1歌集には、角川短歌賞を受賞した作品『八月の朝』などを含む434首が収録されていました。いくつか見てみましょう。これらは恋歌ですね。
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この時間君の不在を告げるベル
どこで飲んでるだれと酔ってる
「嫁さんになれよ」だなんて
カンチューハイ二本で言ってしまっていいの
砂浜を歩きながらの口づけを
午後五時半の富士が見ている
「冬の海さわってくるね」と歩きだす
君の視線をもてあます浜
手紙には愛あふれたりその愛は
消印の日のそのときの愛
あなたにはあなたの土曜があるものね
見て見ぬふりの我の土曜日
「おまえオレに言いたいことがあるだろう」
決めつけられてそんな気もする
愛ひとつ受けとめられず茹ですぎの
カリフラワーをぐずぐずと噛む
さくらんぼ少しすっぱい屋上に
誰よりも今愛されている
ガーベラの首を両手で持ちあげて
おまえ一番好きなのは誰
ため息をどうするわけでもないけれど
少し厚めにハム切ってみる
思い出はミックスベジタブルのよう
けれど解凍してはいけない
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当時は、まだインターネットが普及する前で、携帯電話もなく勿論SNSの影も形もない時代です。でも、今でも古さを感じさせませんね。
彗星の如くに現れた俵万智さんは、スパッと歌壇の慣習を打ち破ってしまいました。当時は与謝野晶子の再来かとも言われたそうです。誰にも真似が出来ないけど、誰もが真似たくなる歌だからです。
31文字で綴られた短歌は、改めて読み (詠み) 返しても、時を超えてその瑞々しい感性に驚かされます。俵万智さんの「自選百首」がこちらのサイトに掲載されています。どの一首が心に響きますか?
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2021.7.6記)