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閑話休題。
「2.26事件」
今から86年前の1936年(昭和11年)2月26日に、陸軍の青年将校たちが兵約1,500名を率い大規模なクーデターを断行します。しかし、その企ては未遂に終わりました。それが「2.26事件」です。
このとき高橋是清、斎藤実など首相経験者を含む重臣4名、警察官5名が犠牲になりました。事件後に開かれた軍法会議では、「非公開、弁護士なし、一審のみ」で、刑が確定しました。主謀者の青年将校ら19名(20~30代)を中心に死刑となり、刑はすぐに執行されました。
この事件の背景ですが、事件の起こる6年前、金輸出解禁と世界恐慌により、日本は深刻な不景気(昭和恐慌)に見舞われていました。企業は次々と倒産し、町は失業者であふれていたのです。
さらに農村でも農作物価格が下落し、都市の失業者が農山村に戻ったこともあり、農民の生活は大変苦しく(農村恐慌)、自分の娘を女郎屋に身売りする家もたくさん出てきました。
こうしたなか、当時の政党内閣は適切な対応をとらず、また汚職事件が続発しました。また不景気のなか、巨大な資本を用いて財閥だけが肥え太る状況が生まれました。
このため、人びとは政党に失望し、財閥を憎み、満州事変などによって大陸に勢力を広げる軍部(とくに陸軍)に期待するようになりました。こうした国民の支持を背景に、軍部や軍に所属する青年将校たちが力をもち、右翼と協力して国家の革新を目指すようになったのです。
今では考えられない武力クーデター
平和な現代にあって、日本で武力によるクーデターが起きるなど想像もできません。でも、わずか80年ちょっと前の日本で現実に起きたのが「2.26事件」です。今でも若い人たちは、学校の社会科や日本史の時間に学んでいるのでしょうか。
この事件は、軍部の青年将校たちが日本の進む道を正そうと暴走した、と言えるかもしれません。いずれにしても、この事件が教えてくれるのは「排除では何も変わらない」ということ、暴力などによる政治の改変はいけないことだということです。
時あたかも、ロシアがウクライナに大規模な武力侵攻を行っています。旧ソ連時代からの歴史的な背景もあるようですが、今の国際社会にあって武力によって他国に侵攻するなど狂気の沙汰としか思えません。
さらにプーチン大統領は、ウクライナの軍隊に対して「勇気を出してクーデターを起こそう」と呼びかけています。自分が行っていることは正しいと自己正当化する姿に恐怖すら覚えます。
変えられるものは実力行使によらず変えていく
変えることができることを変える勇気、変えられないものを受け入れる冷静さ、そしてこの二つを見分ける知恵が大事である、と以前お伝えしたことがあります。
変えられることを変える勇気を持つことは大事ですが、どのように変えていくかは同じくらい重要でしょう。力ずくで、実力行使で無理矢理変えていくのはいかがなものかと思います。
なんとか実力行使せずに変えていけないか知恵を絞るしかないでしょう。いい知恵が浮かばなければ、変えられないことを冷静に受け入れるしかないと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2022.2.26記)