さて昨日は、小泉進次郎氏が語る「地方創生」の映像を見て感じた、氏の「話す力」について書きました。
今日は、氏が視察したある地域のプロジェクトから学んだ「地方創生」の在り方について書いてみます。(こちらの記事参照)
補助金ゼロのプロジェクト
注目したのは、国からの補助金ゼロで起ち上げた岩手県紫波町 (しわちょう、人口3万3800人 ) の「オガールプロジェクト」です。
紫波町では、駅前の町有地10.7ヘクタールを中心に、ホテルやバレーボール専用体育館、図書館、カフェ、産直マルシェなどが入居する施設を相次いでオープンさせ、年間80万人が訪れるようになったそうです。
「オガール」とは、フランス語で「駅」を意味する「Gare」(ガール) と紫波の方言で「成長」を意味する「おがる」を合わせて付けられた名称です。
このプロジェクトで特徴的なことは、国からの補助金は一切使わず、PPP ( パブリック・プライベート・パートナーシップ ) 方式で極力民間の力を活用し、公民連携の開発で、金融機関からの融資によって進められていることです。
内閣府で「地方創生」を担当する小泉進次郎政務官は、2015年9月に視察に訪れています。
小泉氏は次のように語っています。
「町が持っている土地をどうやって使うか。いろいろ考えた時に出てくるのが『国の補助金をください』ということ。
しかし、オガールプロジェクトは補助金ゼロです。町づくりをしようと思った時、自分たちの身銭を切らないと覚悟は出てこない。
町を一緒に作るんだよといって取り組んだのが、素晴らしいことだと思います。」
どう地方の特色を出せるか
小泉氏の言葉に対し、オガールプロジェクトのファイナンスアドバイザー、山口正洋さんは、こう話したそうです。
「最後は国がなんとかしてくれるという意識が、こういう言い方は失礼ですが、皆さんの中にあった気がします。
でも、日本の債務を考えたらそんなことを言っている場合じゃない。自分たちで稼ぐことを考えないといけないと思います。
カマンベールチーズってみなさん、ご存じだと思いますが、生産地であるフランスのカマンベール村は人口たった300人なんです。
でも、その方々が世界にカマンベールチーズを売って稼いでいる。それを見ていると、地方消滅もあまり恐れることもないんじゃないかと。」
オガールプロジェクトでは、2015年7月にバレーボール専用体育館をオープンさせています。
世界大会でも使用されている床材の専用コートで、全国でも珍しいことから、さまざまなチームから練習施設として注目されているそうです。
これも大きなマーケットを狙わない、紫波町ならではのビジネス戦略なのです。
このバレーボール専用体育館を見た小泉氏は、次のように語っています。
「他の市町村に規模では負けていても、この体育館はここにしかない。これだけは負けないというものを作ったわけです。
これから地方創生で私がやらなければならないのは、ないもの探しではなく、そういうあるもの探しを是非してくださいということです。
オガールプロジェクトのどの部分だったら、他の全国の町づくりに活かせるか、しっかり形にしていきたいと思います。」
アイデア・発想力・発信力がポイント
地方には、素晴らしいものが既にあるはずです。そして、素晴らしいものになる原石もいっぱいあるでしょう。
そうしたもの達を発掘し、魅力あるものに仕上げ、全国に、そして世界に広めていくためには、アイデア・発想力・発信力が必要になります。
先日、こちらのブログ記事でご紹介した光ファイバー網が張り巡らされた地方の山里 (徳島県名西郡神山町) があります。
ここはいち早く県知事が、高速の通信環境を整えたことにより、いくつものITベンチャーがサテライトオフィスを構えたことでニュースになりました。
小泉政務官も視察に訪れ、氏の部局の若手官僚を神山町のサテライト・オフィスへ送り、地方から実際に政策を考えることに取り組んでいるそうです。
こうして優秀な若手官僚が、地方の市町村レベルに根を張り、実際の政策を立案することで、地方のアイデア・発想力・発信力が高まることが期待されます。
ま と め
このように見ていくと、「地方創生」には公的機関だけでなく、いかに民間の活力も必要か、ということがよく分かります。
そして、都会で熾烈なビジネスを展開してきた経験が、地方でいかに役立つか想像できます。
都会ではレッドオーシャンなフィールドも、地方ではまだまだブルーオーシャンなこともあるでしょう。
最近、地方に出張して感じるのは、都会に比べていかにその地域の伝統というか、因習・しがらみに縛られて非効率なことがまかり通っているか、ということです。
これらを一朝一夕に打破することは困難だと思いますが、今後の生き残りのために、効率化は避けて通れないことだと思います。
というわけで、今後も「地方創生」に自分がどのように貢献できるのか、探っていきたいと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.2.8記)