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さて、一昨日・昨日と、宮崎県日南市がクラウドソーシングを活用して「月収20万円ワーカー育成プロジェクト」に取り組んでいる内容をご紹介しました。
今日は、プロジェクトを進めていくうちに、当初の想定を超えた、ある「成果」を生み出したことをご紹介します。
日南市に進出したIT企業に採用されたクラウドワーカー
前回は、プロジェクトに応募して採用された3名の方 (子育て中の主婦) が、なかなか成果が挙がらずモチベーションが下がる中、日南市の職員やクラウドワークス社のサポートで奮闘している模様を確認しました。
そして、月収20万円までには至らないまでも、毎月の家賃や光熱費を賄えるくらいの月収を得る参加者が出てきた、というところまで書きました。
その後、クラウドソーシングがきっかけで日南市に進出したIT企業に採用が決まるという、予想を超えた成果が生まれたのです。
日南市に進出したIT企業
日南市では、「若い人が魅力を感じる仕事」を増やしたいとして、積極的なIT企業誘致に取り組んできました。
ITベンチャー企業が市内に進出することで、若者が故郷で働く機会を作るとともに、そうした企業起業活動を通じて、地域の魅力を高めUIターンを促進したいとしています。
日南市が進めてきた誘致活動の結果、既に7社のベンチャー企業の市内進出が決定しました。
その第1弾が、ポート株式会社です。同社は、東京・新宿にあるWEBメディア運営企業で、2016年4月に日南市中心部にオフィスを開設しました。WEBメディアのコンテンツ編集機能を配置し、現地でライター職、事務職を最大50人採用するとしています。
以前より、コスト効率などの観点から地方へのサテライトオフィス開設を構想していた同社は、運営コストや行政サポートと併せて、現地での人材確保も進出地決定のポイントに挙げていました。
運営コストの安い地域は人口も少なく、ITスキルをもった人材を確保することが難しいためです。その点で、日南市とクラウドワークスが進める月収20万円ワーカー育成プロジェクトの目的は、同社が求めるWEBライティングのスキルを持った人材を求める目的と合致したため、同社が進出地を決定する要因となりました。
シングルマザーがスキルを磨いた結果、正社員に
月収20万円ワーカー育成プロジェクト参加者のお一人は、シングルマザーの井戸川理咲さんです。
井戸川さんは、クラウドワーキング開始以前の収入はほぼゼロでした。かつては宮崎市内の企業に勤めていましたが、子育てをしながらの往復3時間の通勤が負担となって退職やむなしとなりました。
そんな井戸川さんがクラウドワーキングを始め、最低限生活していくだけの月収を得られるようになるのに半年。さらに1年後には、ポート社の採用試験に挑戦し、タイピングテストやライティングテストなどをクリアして、正社員としての採用が決定したのです。
WEBライティング未経験だった井戸川さんが、プロジェクトを通して、正社員として十分通用する高いライティングスキルを身に着けるまでになったのです。
井戸川さんは、ポート社の社員としての給与収入に加えて、クラウドワークスでの仕事を副業として続けていきたいと語っています。
2つの収入源を得ることで、日南市に暮らし子育てをしながら、20万円を超える月収の獲得に成功しました。
日南市とクラウドワークスが取り組んだ月収20万円ワーカー育成プロジェクトは、新たな雇用を生むという、思いがけない副次的成果を上げることになったのです。
最後に
クラウドワーキングで収入を得るためには、収入を得るためのスキルを磨き、根気強く仕事を続けるためのモチベーションを維持していく必要があります。
そして、地道な努力を重ねることでしか、月収20万円という高い目標は実現しません。
地方創生を目指している地方自治体が、クラウドソーシングを活用して地域で働く機会を増やそうとするのであれば、クラウドワーカー育成に取り組む必要がありそうです。
そうすれば、日南市のように地域人材のスキルが向上し、IT企業をはじめとした成長産業の企業誘致を優位に進めることができるかもしれません。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.8.19記)