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さて、昨日から3回に分けて、2019.9.12に開催された「国家戦略特区シンポジウム」のプレゼンテーションコーナーで発表があった、3人の改革市長による地方創生への取り組みをご紹介しています。
第1回の小泉一成成田市長に続いて、今回は奥山恵美子仙台市長です。なお、「国家戦略特区シンポジウム」については、こちらの記事をご覧下さい。
仙台市の取り組み経緯
仙台市長は、まず東日本大震災を経験したことにより「利他性」が拡大した、と指摘しています。
「利他性」は「利己性」と対極にある言葉でしょうか。人間の心の中にある、他人のために他人を思いやる気持ちまたは欲求のことを指します。自分のために他人に親切することは、利己的と思われます。
そして、仙台では「他人・地域への貢献」を参加動機とした起業家セミナー参加者が多いということが、そうした利他性を証明しています。利他性の意識が、札幌や福岡といった地方都市に比べて、仙台は高いという結果が出ているのです。
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そこで仙台市は、日本で最も起業しやすい街を目指すことにしたそうです。そして、起業家を東北全体に輩出して、東北地方をけん引するという目標を立てたのです。
国家戦略特区の活用
仙台市は、起業しやすい環境を目指して「国家戦略特区」の活用を目指しました。それを実現することにより、仙台市を 「女性活躍・社会起業」のための改革拠点にしようとしたのです。
具体的な施策例は、以下の通りです。
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この中で、「NPO法人設立手続の迅速化」は、仙台市が国に提案した規制改革メニューになります。
そして、全国に先駆けて 2015年9月24日より実施の運びとなりました。この迅速化により、従来2ヶ月を要した縦覧期間が2週間に短縮できたのです。(NPO法人設立までの流れは、こちらを参照)
制度イメージは、以下の通りです。
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その結果、NPO法人設立の認証件数の実績は、以下の通りとなりました。
・ 平成26年度 (1年間)・・・12件
・ 平成27年度 (9月24日〜3月31日の約6ヶ月間)・・・16件
迅速化開始以降の約半年間で、なんと前年1年間の件数を上回る実績を挙げたのです。
まとめ
仙台市は、以上のほか自動車の完全自動走行の実証試験、国内最大規模のドローンレースを開催するなどのほか、ICTを活用したまちづくりを積極的に推進し、関連産業の集積を目指しています。
そして、近未来技術を、将来的に防災・減災分野で活用したいとしています。
東日本大震災で、大きな被害を受けてから5年半が過ぎました。そこから育まれた他人を思いやり、地域に貢献したいとする「利他性」を発揮してもらうため、仙台市は起業をバックアップする取り組みを積極的に進めています。
その取り組みを迅速化できるように、国家戦略特区を有効に活用することは、大きな意味を持つと思います。復興も道半ばかもしれませんが、防災・減災分野でもトップリーダーとして日本をけん引して欲しいものです。
さて、仙台市の取り組み事例に続き、次回は今治市の取り組みを見てみたいと思います。
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では、今日はここまでにしましょう。
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(2016.9.23記)