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閑話休題。
さて、今日9月25日は「彼岸の明け」に当たります。東京の日の出は5時31分、日の入は17時34分です。
彼岸は、春分の日と秋分の日の3日前から3日後までの7日間をいいます。春分 (秋分) の3日前の日を「彼岸の入り」と言い、3日後を「彼岸の明け」と言います。春分・秋分は、その中間に位置しますので、「彼岸の中日」と呼ばれます。
彼岸のルーツは?
彼岸は、仏教用語です。元々、梵語 (ぼんご) の波羅蜜多 (はらみつた) を漢訳した「到彼岸 (とうひがん) 」のことだそうです。
煩悩に満ちた世界「此岸 (しがん) 」から、解脱 (げだつ) した悟りの世界「涅槃 (ねはん) 」を指します。こちら (此方) の岸とあちら (彼方) の岸と考えると分かりやすいですね。
さらに、煩悩に満ちたこちらの世界を現世、涅槃の世界を死後の極楽浄土ととらえ、あちらの世界と考えたところから、亡くなった先祖たちの霊が住む世界を「彼岸」と考えるようになりました。このことから「彼岸に墓参り」という習慣になったわけです。
なお、この時期には「彼岸会 (ひがんえ) 」という仏教の法会が開かれ、これが現在の「彼岸」の由来となります。インドや中国にはない日本独自の仏事だそうです。
春分・秋分の日は、太陽が太陽が真東から昇り、真西に沈む日
涅槃の世界を、「西方浄土」と呼ぶことがあるように、阿弥陀仏の極楽浄土は「西」にあるとされています。
そのため、真西に太陽が沈む春分の日、秋分の日は、夕日が極楽浄土への道しるべとなると考えられたのです。
この日、沈む太陽が示す極楽浄土への道を「白道 (びゃくどう) 」といい、仏の示してくれたこの白道を信じて進めば、必ず極楽浄土に至ると言う信仰が生まれました。この信仰は、浄土思想が盛んになるのと軌を一にして広がって行き、現在に至っています。
最後に
このところの長雨で、お墓参りに難儀した方も多いのではないでしょうか。
そして秋分の日も、沈む太陽を見ることはできませんでした。見ることができたら、真西の位置を確認することができ、あの彼方に極楽浄土があるのかも、と思いを馳せることができたのに。
若い頃は、極楽浄土や天国などを考えることはあまりありませんでしたが、13年前に父を亡くし、その後、会社員時代にとてもお世話になった方が亡くなったり、最近では僕と同じ年齢だった中村勘三郎や坂東三津五郎、元横綱・千代の富士の訃報に接することで、死後の世界を考える機会が増えました。
こうして彼岸のルーツを紐解き、極楽浄土に思いを馳せると、亡くなった方々がどのような世界 (彼岸) にいるのか、とつい考えたくなります。
いずれ自分もその世界に行けたら、一緒に一献傾けたい方が何人もいらっしゃいます。
・・・と、そんなことをつらつら考えた彼岸の明けの日なのでした。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.9.25記)