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さて、これまで出版への道を志すことになった経緯、想定読者に伝えたいことを書いてきました。 (こちらのページ参照)
そして、いろいろ「やり方」を工夫する前に、心の「あり方」を整えるのが一番大切だとご紹介してきました。でも、あんまり「あり方」にがんじがらめになっても疲れちゃいますよね、ということも前回書きました。
今日は、心の「あり方」を整えて、実際の「やり方」を工夫するわけですが、ともすれば「手段が目的化」してしまう罠に陥りがちなことを書いてみます。
「やり方」は試行錯誤の世界、失敗したらすぐに変えればいい
「失敗は成功の母」と言われますね。
iPS細胞の作製により、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は、次のように言っています。
「何百回いや何千回も実験は失敗する。だが、失敗したということは、うまくいかないやり方を発見したということであり、そのことが意味を持つ。」
そして、逆説的に失敗の意味を表現した、なでしこジャパン元監督の佐々木則夫氏の言葉も思い出されます。
「成功の反対は、失敗ではない。やらないことだ。」
いかに失敗することが大事か、ということですね。
「手段が目的化」してしまう罠
ここで注意したいのは、何が目的なのか、ということです。
山中教授の言う実験の目的は、無数に実験を繰り返すことで、ある発見をすることだと思います。ここで、「実験する」ことそのものが目的になってはいけないわけです。
そんなことは分かりきっている、と思うかもしれませんが、仕事の現場で実際よく起きているのが「手段の目的化」です。
例えば、デスクワーカーが何かの資料を纏めるとします。資料作りに没頭すると、いつのまにかその資料をなんのために作っているのか失念してしまい、いかにその資料を完璧に仕上げるか、が目的になってしまうことがあります。
すると、資料に入れるグラフの見栄えなどに凝ったり、Excelの1枚プリントで十分なものをPowerPointで数ページに及ぶスライドにしてしまったりします。
でも、上司は、その資料を元に急いで市場戦略を立案したいのかもしれません。であれば、この場合は「巧遅は拙速に如かず」でいくべきでしょう。
「木を見て森を見ず」にならないために「着眼大局、着手小局」を心掛ける
木を見て森を見ずになるな、とは、物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うことを戒めた言葉です。ビジネスの世界でよく言われる言葉ですね。
ここで大切な心のあり方は、「着眼大局、着手小局」の姿勢です。
いわゆる「手段が目的化」しないように、その仕事はそもそも何を目的にしているのか、目指す到達点はどこなのか、ヘリコプターに乗った目線で俯瞰し確認する。
そして、具体的に進めるには、地上に舞い戻り、一つずつマイルストーンを設定して取り組み、障害を克服し、仕上げていく、ということです。
また、こんな言葉を聞いたことがあります。「手術は成功した。だが、患者は死んだ。」
いくら手術の腕が良くても、患者が死んでしまっては、医者失格ですよね。
「部分最適」に拘りすぎると、却って「全体最適」にならない、という事例だと思います。
ということで、「手段が目的化」しないよう、常に「着眼大局、着手小局」の姿勢を忘れずにいたいものです。
さて、また長くなりましたので、続きは次回に。
では、また!
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(2018.2.10記)