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さて、「今日の一言メモ」第236回です。
「離見の見」
「離見の見 (りけんのけん) 」とは、世阿弥が能楽論書「花鏡」で述べた言葉で、自分の姿を左右前後から、よくよく見なければならないという意味です。
実際には、自分の姿を自分で見ることはできないので、客観的に自分の行動を批判してくれる人を持つなど、ひとりよがりになることを避けるよう、心掛けなければならないという戒めです。
どうやって自分を第三者的に見ればいいのかについて、世阿弥は、「目前心後 (もくぜんしんご) 」という言葉を用いています。
「眼は前を見ていても、心は後ろにおいておけ」ということ、すなわち、自分を客観的に、外から見る努力が必要だといっているのです。
「道具の日」
ところで、今日は「道具の日」だそうです。10月9日を「どう (10) ぐ (9) 」と読ませる語呂合せです。
調理用具を中心とした専門店街として知られる東京・浅草のかっぱ橋道具街が制定した記念日です。
毎年この時期に、「かっぱ橋 道具まつり」が開催され、今年は10月8日〜14日まで開催されています。とってもお得に料理道具を手に入れるチャンスなので、近くに行かれたら足を向けてみては如何でしょうか?
ちなみに、「かっぱ橋」の名前の由来には、江戸時代に近くの橋に「雨合羽」をずらりと干したことから、という説と、隅田川の治水工事に難航していた折に河童達が夜な夜な工事を手伝ったから、という2つの説があるそうです。
そういえば、料理道具ではありませんが、最近大活躍の道具の一つに、ドローンがあります。一時期、自分の後ろを飛んで自動追尾しながら撮影してくれるドローンがニュースになっていました。
このドローンがあれば、労せずして「離見の見」が実現できますね。
歳を重ねて独りよがりになっていないか常にチェックする
歳を重ねれば重ねるほど、地位が上に行けば行くほど、先を見ることが要求され、自分の後姿を見ることを忘れてしまいがちです。
自分が独りよがりになっていないか、ちゃんと生きているかチェックするために自分を突き放して見ることが求められます。
全体の中で自分を客観的に見ることは、いつの世でも難しく、しかし必要とされることです。
自ら重ねてきた経験があればあるほど、視界は限定され狭くなりがちです。そして、自分の論理の正当性を強調したくなります。
そうならないためには、後ろを飛ぶドローンのカメラを通じて俯瞰しているようなイメージで、自分の姿を眺めることが必要でしょう。
ICTやAIなどの技術的進歩に代表されるように、自分が経験してきた世界とは全く異なる世界が回りに拡がっていることに気付くはずです。
現代の知識を謙虚に学び、経験を活かした知恵を生み出す
そうした世界で正しく過ごすためには、新たな技術を習得し卓越した術 (すべ) を身に付けた人物に教えを乞い、新たな知識を学ぶ必要があります。教えを乞う方の年齢性別は関係ありません。
それは、自分が70歳になっても80歳になっても変わらないと思うのです。
そして、身につけた知識を活かし、自分が積み重ねた経験を加味した知恵を生み出し、今の時代に本当に役立つものとして提供することができたらいいと思うのです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2019.10.9記)