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さて、「今日の一言メモ」第666回です。
「巧遅は拙速に如かず」
「巧遅は拙速に如かず」(こうちはせっそくにしかず)とは、上手だが遅いよりも、下手でも速いほうがよいという意味です。
「巧遅」とは、出来はよいが仕上がりまでが遅いという意味で、「拙速」とは、出来はよくないが仕事が早いという意味になります。
場合によっては、ぐずぐずしているより、上手でなくとも、迅速に物事を進めるべきだということです。
中国春秋時代の兵法書『孫子・作戦』に「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを賭ざるなり(部隊を動かすのは、戦術がよくなくても迅速であるほうがよい。巧妙な戦術で長い間戦い続けているのを見たことがない)」とあるのに基づいています。
兵法家の孫子が、戦争は戦術がよくないものであったとしても、迅速に行動し早く終結させるのがよいと説いた言葉からこう言われるようになりました。
手段を目的化すると、巧遅になる
仕事の現場でよく起きているのが「手段の目的化」です。
例えば、デスクワーカーが上司に命じられて何かの資料を纏めるとします。資料作りに没頭すると、いつのまにかその資料をなんのために作っているのかという本来の目的を失念してしまい、いかにその資料を完璧に仕上げるか、が目的になってしまうことがあります。
すると、資料に入れるグラフの見栄えなどに凝ったり、Excelの1枚プリントで十分なものをPowerPointで数ページに及ぶスライドにしてしまったりします。
でも、資料作成を命じた上司は、それを元に急いで市場戦略を立案したいのかもしれません。であれば、この場合は「巧遅は拙速に如かず」でいくべきでしょう。
そうしたら、見てくれはともかく箇条書きにした手書きのメモで十分かもしれません。
ということで、「手段が目的化」しないように、その仕事はそもそも何を目的にしているのか、期限(デッドライン)はいつまでなのか、ヘリコプターに乗った目線で俯瞰し確認する。
そして、具体的に進めるには地上に舞い戻り、期限(デッドライン)に応じた段取りを考え実行していく、という姿勢が必要です。
「手術は成功した。だが、患者は死んだ。」という事例では、患部の手術に時間をかけすぎたことが、患者が死んでしまった原因かもしれません。「部分最適」に拘りすぎると、かえって「全体最適」にならない、という典型例でしょう。
ということで、「手段が目的化」しないよう、常に自問自答していたいものです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2021.2.10記)