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さて、「今日の一言メモ」第754回です。
「李下に冠を正さず」
「李下に冠を正さず」(りかにかんむりをたださず)とは、スモモ(李)の木の下で曲がった冠をかぶり直すと、スモモの実を盗んでいるのではないかと誤解を招く恐れがあることから、誤解を招くような行動はすべきではないという戒めになっています。
古代中国で編纂された詩文集『文選・古楽府・君子行』に、「君子は未然を防ぎ、嫌疑の間に処らず、瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」(すぐれた人は事件が起こる前にそれを予防し、あらぬ疑いを抱かれるような立場に身を置かない、瓜畑では靴を履き直すことをせず、スモモの木の下では曲がった冠を正すようなことはしない)とあるのに基づいているそうです。
何気ない行動が生む誤解
以前、ニュースで見たのですが、アメリカで夜、警官に呼び止められた黒人男性が、ポケットから携帯電話を出そうとして射殺された事件がありました。
暗かったので、男性が出そうとした携帯電話を拳銃と見間違えたことから起きた悲劇でした。
なんとも紛らわしい行動を取ったものですが、銃社会のアメリカならではの悲劇だったと言えます。
言葉が生む誤解
社会生活を営んでいれば、「そんなつもりじゃなかったのに……」とあらぬ誤解を受けることもあるでしょう。その誤解が、自分の行動から生まれたものもあれば、ふと発した言葉にあることも多いはずです。
例えば、目上の方に対して「勉強になります」と「参考になります」という2つの言葉を使った場合はどうでしょう。
この2つの言葉は、似ているようでまったく違うものです。「参考になります」は、本来目上の人が「参考にするよ」と言うなど、考えの足しにする場面でつかう言葉です。
下の立場の人から言われると、教えたことを軽視されたと相手に誤解を招き、「上から目線」で失礼だと受け止めてしまう人も多いので、上司や取引先など立てるべき相手には使わないほうが良いでしょう。
さらに、「勉強になります」を言えるようになったら、さらにひと工夫するのがお薦めです。
「勉強になります」という言葉とともに、どう学び、今後どう生かしていくのかを、具体的な行動を伝えるのです。「○○について勉強になりました、今度◯◯のときにやってみます」というように、何が勉強になったか、どう活かすかをきちんと伝えると好印象を持たれるでしょう。
「行動」は、こんな風にされたら嫌だな、と割と分かり易いですが、「言葉」の中には、こんな風に言われたら嫌だな、と明確には分かりにくいものがあると思うのです。
ですから、ちゃんと考えず迂闊に思ったことをそのまま口に出すと、自分の意図と異なる受け止め方をされ、誤解される恐れがあります。
相手がどう受け止めるだろうかと、想像力を発揮して考えて、注意して言葉を選びたいですね。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2021.7.11記)