前回のアップはお盆明けの日でした。もう8月も残すところ3日となり、足早に秋が近づいてきた気配を感じます。さて、これまで3回連続で「自分をつくる学校」特別ゼミの読書会の内容についてご報告してきました。
今日は、読書会シーズン3『戦略論』の内、8/21(水)の第3回を終えて抱いた思いについてアップしましょう。
シーズン3の会場は、これまで通り東京渋谷の東急百貨店本店に近い「T’s 渋谷FLAG」です。
そして過去3回のアップは次の通りです。
これまで同様、原尻講師がテーマ『戦略論』を基に選定した上記課題図書を事前に読み、当日は受講生同士でその本について議論します。その後、講師から独自の視点で解説される形式です。
課題図書の3冊目は「経営パワーの危機」(三枝匡著) です。その内容についてAmazonの書籍情報から引用します。
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変革をリードする経営パワーを持つ人材が枯渇している。倒産寸前の会社に若き戦略型リーダーが舞い降りて、ついに成長企業に蘇らせる!実話に基づく迫真のケース。前著『戦略プロフェッショナル』より進んだ戦略手法の応用から抵抗勢力との闘い、リーダー育成法まで実践解説。
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実在する企業をモデルに、著者が実体験に基づき構成した改革のストーリー。そこにあるのは一貫する理論と信念に裏付けられた物語です。そこに展開されるドロドロとした人間ドラマは、長く企業に勤めた人であれば身につまされるようなシーンが多いと思われます。
読書会では、前回同様、まず原尻講師から「本を読んで面白かった箇所」を三点ピックアップし、自分の興味関心について発見するようにリードされます。そして、読書会参加者とその内容を発表し合います。
富田は以下の3点を挙げました。
1. 「商売の基本サイクル」に立ち戻る → このプロセスで「業務サイクル改善の押しボタン」を見つける。
2. 「企業戦略のチェックサイクル」をどこから回すか → 「再建のシナリオ」のスタートポイントは「資金」、「成功のシナリオ」のスタートポイントは「競争」。チェックサイクルを回す入口は、時間軸を最も厳しく縛る要素から始めること。
3. 事業成長の持続に必要なのは、トップの壮大な「夢」、具体的な「戦略」、そして「現場の活性化」が連携して機能すること。そしてこの連携を維持し組織を常に生き生きと動かしていくためには、リーダーがあえてリスクテイクすることが必要。
そして纏めると、強力な経営リーダーは「クールな戦略性」と「ホットなリーダーシップ」を兼ね備えること。これが3冊に貫かれるテーマ。
以上について、4〜5人のグループ内でそれぞれが記載した内容について一人ずつ発表し、ディスカッションを行いました。未だ若い世代の方々はこうしたドロドロとした人間模様にはまだそれほど実感が湧かない感じでもありました。
そしてこれまで様々な競争戦略の立案者でもある原尻講師から解説がありました。これまで同様当日投影されたスライドの掲載は、ブログやSNSではNGなので、ここでは書籍の一部引用と文章だけでお伝えします。
前回の課題図書「V字回復の経営」は「事業」にフォーカスしているが、今回の「経営パワーの危機」は「人」にフォーカスしている。
(1) 組織分析の秀逸さ → 商売の基本サイクル(P.164)、ズタズタの業務サイクルと業務サイクル改善の「押しボタン」(P.203)
そして、この組織分析を応用して、広告代理店時代に案件を失った時に行った実例が示されました。それは、営業戦略への応用であり、また失敗事例の分析 (基本サイクルに合わせた)と今後の展開への応用でした。このようにビジネスに実際に活かせるものであることが示されました。
(2) 2段ステップの開発戦略の秀逸さ (P.297) → Appleの開発もこうした経過をとっているように見える。 (iPod→iPhone→iPad ・・・目的が変わることで大きさや機能を微妙に違えて製品化している)
そして、新著「読書HACKS」が出版に向けて最終段階にあることが紹介された後、ビジネス書や経営書は、経営者が書いた本(実録)をまず読むことが推奨されました。実例として以下のような書籍です。
「i-mode事件」松永真理著 角川文庫
「俺の考え」本田宗一郎著 新潮文庫
「迷いと決断」出井伸之 新潮新書
「スープで、いきます 商社マンがSoup Stock Tokyoを作る」遠山正道著 新潮社 (事業計画書が本にそのまま掲載されている)
こういう書籍を読んでから、理論に関するビジネス書を読むことが大事。ビジネス書は、特にツールとして活用してナンボのものであり、ただ勉強するという姿勢で読むことは避けたい。そして、書いてある通りにはできないので、よく噛み砕きカスタマイズして使うことが肝要。
【質疑応答】
(Q) ミスミでは三枝会長が「座学をして実践を通して学べ」と言う。一方、最近MBA等は経営に邪魔という風潮がある
(A) 日本では小学校から大学まで、ずっと教科書が中心。これは2Dラーニング。これはリアリティがない。これからは3Dラーニングが必要。自分の興味・関心・好奇心等リアリティのある部分を深掘りしていく。そのために2Dラーニングを利用する。そして3Dラーニングに戻るとオリジナルの2D教科書ができる。
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以上で読書会は終了し、参加者は渋谷の夜の街へと消えていったのでした。
グループメンバーとのディスカッションで各自の興味関心のポイントが、立場や経験によって色々な点に分散していることは今迄の読書会と同様でした。
また、原尻講師が実務を通じて、こうしたビジネス書からどのように自社に取り込み活用しているか、について細かく紹介して頂き、業種業態・規模の違いを超えて共通したツールに落とし込めることが明確に理解できました。
課題図書の内容と現実のビジネス現場での応用事例が、ありありと想像できて大変に実り多い時間でした。
さて、次回の読書会 (第4回)は 9/4(水)の開催。もう9月ですね。課題図書は「企業参謀」(大前研一著)です。今、読んでいますが、文庫版は大変文字が小さく老眼の身には辛いので、裁断・スキャンしてMacの大きな画面で読んでいます。(^^;
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ということで、今日はここまで。次回は第4回の読書会についてアップします!
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(2013.8.29記)