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10月11日は、今から29年前に、日本国有鉄道 (国鉄) の分割民営化が決まった日

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「今日は何の日?」シリーズ第87弾です。

台風19号が、非常に強い勢力を保ちつつノロノロと日本列島を目指していますが、今から29年前の今日、国鉄の分割・民営化を定めた「国鉄改革のための基本方針」が閣議決定されました。

国鉄分割民営化とは

国鉄分割民営化とは、中曽根康弘内閣が実施した政治改革です。

日本国有鉄道 (国鉄) をJRとして、6つの地域別の旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社などに分割し、民営化するものです。これらの会社は1987年4月1日に発足しました。

このほか同時期に、電電公社や日本専売公社を含めた三公社の民営化が自由民主党によって進められたのです。

この国鉄分割民営化によって、国鉄はその事業等を以下の12承継法人に承継することになりました。

(出典 : Wikipedia)

(出典 : Wikipedia)

1. 北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)
2. 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) …… 2002年6月、完全民営化。
3. 東海旅客鉄道株式会社(JR東海) …… 2006年4月、完全民営化。
4. 西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) …… 2004年3月、完全民営化。
5. 四国旅客鉄道株式会社(JR四国)
6. 九州旅客鉄道株式会社(JR九州)
7. 日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)
8. 鉄道通信株式会社 …… 現ソフトバンクテレコム。
9. 鉄道情報システム株式会社(JRシステム)
10. 新幹線鉄道保有機構 …… 1991年10月、解散。
11. 財団法人鉄道総合技術研究所(JR総研) …… 2011年4月、公益財団法人に移行。
12. 日本国有鉄道清算事業団 …… 1998年10月、解散。

分割民営化の目的は、巨額債務の解消

自家用車の普及による地方での国鉄離れや労働コストが急激に上昇したことで、それまで黒字だった日本国有鉄道は、東海道新幹線の開業した1964年 (昭和39年) から赤字に転落しました。

インフレを防止するため、政府が運賃の値上げを抑制したことや、民業を圧迫するという理由で運輸業以外の他業種への参入ができなかったこともあって、この赤字は増大し続けることになります。

最終的な累積債務は、37兆円にも達していたそうです。これは、利払いだけでも年1兆円を超える額です。

この巨額の累積債務を、民営化して経営改善したJR各社の負担や国鉄資産の売却、更に国からの税金投入などで処理することが、国鉄分割民営化の大きな目的でした。

ただし、中曽根首相はその後、国鉄分割民営化の真の目的は、労働組合の解体にあったと述べていたようです。

国鉄労働組合の解体

この分割民営化に真っ向から反対したのが、国鉄労働組合 (国労) の組合員でした。

ストライキ

当時、中核派や革マル派などの過激派セクトが国労の組織に入り込み、一部セクトは公然と社会主義革命を主張していたとか。

国労は、サービス低下を理由に国民に分割・民営化反対を主張しましたが、政府側は、ヤミ休暇やヤミ休憩、ヤミ超勤、酒気帯び勤務の常態化、服装規定違反など、民間企業では考えられないような怠惰な労働環境の維持を目的とした反対だと訴えます。

マスコミ (特にサンケイ) は相次いで国労批判のキャンペーンを張ったそうです。

巨額債務のその後

国鉄分割民営化の時点で、累積赤字は37兆1,000億円に達していました。

このうち、25兆5,000億円を日本国有鉄道清算事業団が返済し、残る11兆6,000億円を、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR貨物、新幹線鉄道保有機構(1991年解散)が返済することになりました。

経営難の予想されたJR北海道、JR四国、JR九州は、返済を免除されたのです。

清算事業団による用地売却は、その後のバブル景気で地価が高騰し、資産価値は上がりますが、用地売却による再開発が地価高騰を悪化させるとした政治介入もあり、思うように進みませんでした。

土地が塩漬けにされている期間に、利子がかさんでかえって債務総額は増えてしまいます。

結局、清算事業団解散時にあった28兆3,000億円の借金のうち、16兆1,000億円の有利子債務は国の一般会計に承継、つまり国の借金となりました。

残る債務のうち、年金等将来費用3兆400億円を国鉄清算事業本部が、厚生年金移換金など7,000億円をJRが、これまでの負担分とは別に返済することになり、その残りは債務免除となったのです。

というわけで、巨額債務の解消について、結果は成功したとは言い難い状況です。

赤字額が小さいうちに政府が援助していれば、また効率化や多角化や組合対策などの経営努力がもっと可能になっていれば、利払いだけで年1兆円を超えるような、手の施しようがない事態にはならなかった、と言われています。

結局、その借金の多くが国の借金となり、将来にそのつけを回すことになってしまいました。これも、戦後日本の暗部といえますが、民営化による荒療治は必然的な流れだったのです。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!
 
 
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(2014.10.11記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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