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11月21日は、1986年三原山大噴火と全島民避難の日、真の政治主導の危機管理に学ぶ

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「今日は何の日?」シリーズ113回目です。

今から28年前の1986年11月21日に、伊豆大島の三原山が大噴火し、全島民と観光客13,000人が島から脱出することを余儀なくされました。

この時、総理官邸の政治主導のもと、ありとあらゆる船を動員した脱出作戦が計画され、島では村役場の職員をはじめとする決死の救出劇が展開されていました。

カミソリ後藤田と呼ばれた当時の官房長官

この時の官房長官であった後藤田正晴氏が、脱出作戦実行の陣頭指揮を執りました。

後藤田正晴

慣例に縛られがちな官僚機構を制して、前例のない救出作戦を実行したのですが、これは真の政治主導と言えます。

もしも、東日本大震災が起こった時の官房長官が後藤田氏だったら、あの時の民主党による官邸主導の対応とは違ったものとなり、人的災害が最小限で済んだのではないか、と思わざるを得ません。

今日は、そんな歴史に学び、真の政治家を選ぶ参考にしたいと思います。

500年ぶりの大噴火

それでは、1986年11月21日を振り返ってみましょう。

三原山の噴火は、予想できない規模に膨らみ始めていました。11月21日18時には、三原山の山すそに11もの噴火口ができ、マグマが一斉に噴出したのです。しかも、噴出した溶岩が、住宅に向け山を降りはじめました。

対策マニュアルがない中で決断されたのは、全島民及び観光客13,000人を島の外に逃がすという、空前の脱出作戦だったのです。

最初の噴火が起こった16時過ぎから3時間が過ぎても、噴火の勢いは一向に収まりませんでした。

港では、島民たちが船の到着を待ち続けていました。どよめきが起こったのは、19時半過ぎのことでした。沖に、いくつもの船の明かりが見えたのです。

様々な苦闘の末、翌朝22日5時55分、大噴火から14時間40分、最後の船が出港しました。一人の犠牲者も出すことなく脱出作戦が完了した瞬間です。

この時の村役場を中心とする苦闘の記録は、下記のサイトを参考にさせて頂きました。

全島一万人、史上最大の脱出作戦
午前5時55分、大噴火から13時間40分、船は出港した。大島1万人の脱出作戦の完了だった。 …

究極の政治主導による救出船の手配

一刻を争う事態の中で、多数の救出船を手配できたのは、総理官邸による政治主導のお陰でした。

噴火の一報を受け、当時の中曽根総理大臣、後藤田官房長官などが集まった官邸で、後藤田官房長官が「(災害対策) 担当官庁の国土庁はどうした、情報が入ってこんぞ。」と言って、国土庁に確認させますが、何度連絡しても、「会議中です」の一点張りで埒が明かなかったそうです。

そこで、会議の内容を聞くと、「災害対策本部の名称(大島災害対策本部とするか、三原山噴火対策本部にするか)」「元号を使うか、西暦を使うか(昭和天皇もご高齢なので、元号が変わらないとも限らない、でも西暦は前例がない)」「臨時閣議を招集するか、稟議にするか」を会議しているとのこと。

これを聞いた後藤田官房長官は烈火の如く怒り、中曽根総理に「これでは13,000人の命が危ない。内閣でやりましょう。」と進言、中曽根総理は「私が全責任を持つ。やれ。」と明快な命令を下しました。

即座に、19省庁の関係局長を後藤田官房長室に集めて指示を出し、そして、後藤田長官の号令一下、南極に向かっていた巡視船「しらせ」以下海上自衛隊、海上保安庁、さらには夏季のみ渡航の東海汽船のフェリーなど、計約四十隻の救出艦船団を組織したのです。

そして、国土庁が会議を終えた頃、すでに救援の艦船団は大島に向かっており、全島民脱出作戦は成功しました。

延々会議をやっていた国土庁は、翌日の記者会見で「官邸は独善的で横暴だ」とコメントしたそうです。国会では、公明党議員から職権乱用、他省庁の権限干犯だと吊し上げをくらいますが、中曽根総理、後藤田官房長官は、「全く問題ない」と高姿勢でした。

これが本当の「政治主導」というものでしょう。

この時、総理官邸が対応した記録は、下記のサイトを参考にさせて頂きました。

度肝を抜かれる政治主導のはなし 私的憂国の書
国会では公明党議員から職権乱用、他省庁の権限干犯だと吊し上げをくらったが、中曽根総理、後藤田官房長官は、全く問題ないと高姿勢だった。  これが本当の「政治主導」というものである。 …

なお、この脱出作戦は、NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられ、その内容はKindle版になっています。

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さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!
 
 
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(2014.11.21記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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