(画像出典元 : 「TOKYOビル景」)
さて昨日は、消費者庁の徳島移転に関して、いよいよ3月14日から実証実験が始まったことについて書きました。
そして、16日になって政府機関の地方移転に関する基本方針案の概要が判明した、と報道されました。(こちらの記事参照)
基本方針案の概要
その方針案の概要は次の通りです。
移転検討対象の7省庁のうち、特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁の4庁は、移転すると「機能維持・向上」ができないとして移転を見送り、既設の出先機関の強化で対応する。
文化庁は外交や国会対応などの業務を除き、京都府へ数年以内に「全面的に移転する」と明記する。
徳島県が誘致し、現在実証実験が行われている消費者庁と、和歌山県が要望している総務省統計局は、機能移転の業務試行や実証実験を行った上で、8月末までに移転の可否の結論を得るとしている。
移転見送りの理由
移転を見送った4庁それぞれの見送り理由は、次のように報道されています。
北海道と兵庫県が要望した観光庁、大阪府が求めた中小企業庁は、移転すれば全国視点での政策立案ができなくなること。
三重県が求める気象庁も、大規模災害時の危機管理の観点から対象外に。
長野県と大阪府が要望した特許庁は、審査官の不足を理由に移転対象から外れたが、関係機関の工業所有情報・研修館の拠点を大阪府内に整備する方向で検討する。
一方で、文化庁については「京都や関西に多数集積する文化財の関係業務は効果が大きい」と指摘しています。
これが第一歩となるのか、大山鳴動して…になるのか
明らかになった基本方針案では、東京一極集中の是正策としては不十分なものと言わざるを得ません。
それにしても、観光庁や中小企業庁の移転を見送る理由が「移転すれば全国視点での政策立案ができなくなる」というのも納得性に乏しいように感じます。
これが移転見送りの理由として認められるなら、殆どの省庁が錦の御旗のように掲げて移転阻止に動くのではないでしょうか。
そして、実証実験を行う消費者庁や総務省統計局の結果がうまくいかなかったら、「それみたことか!」となるのは想像に難くありません。
いずれにしても、政府機関の地方移転は、移転すること自体が目的ではなく、移転によって地方に雇用機会や周辺サービスの需要が増え、それが地方の人口増に繋がること、そして、結果として東京一極集中が是正されることが目的のはずです。
何もせずに理屈をつけて、移転を拒否するのではなく、やれることはなんでもやってみて、うまくいかないことは歯を食いしばり工夫を凝らして乗り越えよう、という位の気概と使命感を、国家公務員の方々には持って欲しいと思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.3.17記)