さて、最近「3,000円で故郷ができる。シェアビレッジが面白い」というNAVERまとめを見ました。
今日は、この取り組みがどのようなものか確認してみました。
人口減少率第1位の秋田県でスタート
「シェアビレッジ」は、秋田県五城目町に位置する築133年の茅葺き古民家からスタートしました。
古民家が建つ秋田県は、2005年から9年連続で毎年1万人以上人口が減っている、人口減少率ワースト1位の県だそうです。
このままでは、今後100年で人口がゼロになってしまうと言われています。
そのことに危機感を持った秋田県出身の武田昌大氏が中心となって「シェアビレッジ」の取り組みがスタートしました。
まず、武田さんは茅葺き古民家の維持に取りかかります。この茅葺き古民家は、写真集の表紙を飾ったり、JR東日本のポスターにも使われた家だそうです。
しかし、茅葺きの維持費や住む人がいないことから、解体も検討されていました。
ちなみに、日本全国の住宅6,063万戸の内、空き家は820万戸 (全体の約14%) に達しています。
そして、この茅葺き古民家維持の資金をクラウドファンディングで集めました。目標額100万円に対して、なんと571.7万円の資金が集まりました。
年貢3,000円を納めて村民になることからスタート
一軒の茅葺き古民家を、一世帯で維持するには、あまりにも費用が嵩み無理。そして、年々住む人自体が少なくなってきている。
それを解決するのが、「シェアビレッジ」というアイデアです。
「年貢 (NENGU) 」と呼ばれる年会費3,000円を支払えば、誰でも村民になれます。
村民になると自分の好きな時に自分の村へ行き、田舎体験をしたり、村民同士で楽しんだり、宿泊したり、のどかな環境で仕事したり、制作活動に浸ったり、想像力の限りなんでもできるのです。
更に面白いのは、「寄合 (YORIAI) 」と呼ばれる催しです。「せっかく村民になっても年に何回も田舎にいけないよ」という人が多いことから考えられた催しです。
そこで、村民だけが集まる定期開催飲み会を「寄合」と呼んでを都市部で開催しているのです。
会社でもなく、同級生でもなく、出身地も関係ない村民同士が気軽に仲良くなれる飲み会を行い、村について語り合うという趣向です。
また、「里帰 (SATOGAERI) 」という、仲良くなった村民同士で、実際に自分たちの村に遊びに行き、お花見、蛍観賞、紅葉狩り、囲炉裏で鍋を囲むなどのイベントもあります。
他に、茅葺を葺き替えたり、敷地内の畑を「開墾 (KAIKON) 」したり、年に一度のお祭り「一揆 (IKKI) 」という名のフェスを開催したり、趣向を凝らしています。
日本全国、そして世界に広げたいネットワーク
この取り組みは、秋田に留まらず、全国で消滅が危惧される古民家を維持し、村に変えることを計画しています。
村が増えれば増えるほど村民はたくさんの村に行くことができるようになります。
都市から田舎へ、田舎から田舎へ。田舎から世界へ。
村民は様々な田舎を持ち、田舎を巡ることで、癒しや新たな発見、コミュニティ、楽しさで充実した日々を過ごすことができることを目指しています。
そして、100万人の村を作りたい、というのがこのプロジェクトのビジョンだそうです。
YouTubeに、このプロジェクトにかける思いを語る「村長」武田氏の映像がアップされています。7分35秒ありますが、是非ご覧になって下さい。
最後に
全国の空き家、とりわけ地方に残る茅葺き古民家は、維持費・住む人の問題で消滅の危機にあります。
東京一極集中を是正することが、地方創生の大きな目的の一つですが、そのためには空き家問題への取り組みが不可欠です。
その中で、今回の取り組みは、武田村長の故郷秋田県に対する思い、危機感、そしてシェアビレッジにかける熱意を感じる取り組みです。
そして、最近では地方創生を目的とした官民連携や異業種連携が盛んに行われるようになってきました。
このシェアビレッジの取り組みに行政はどのように関与しているのでしょうか。クラウドファンディングで資金を調達していますが、補助金は出ないのでしょうか。
こうした事例を見ると、先日決定した「地方創生加速化交付金」の中身に疑問を感じてきます。
子細に見ていくと、え?こんな取り組みに何千万円もつぎ込むの?という案件も散見されます。
こうした民間の知恵に対して、もっと行政のバックアップがあっていいように思うのですが…当事者にとっては、金だけでなく口も出されるので迷惑なのでしょうか…
というわけで、地方創生を目指して、シェアビレッジのような取り組みが功を奏することを願ってやみません。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.4記)