さて、今日は縦割り行政の弊害が常に指摘されている中で、総務省を中心に資源エネルギー庁・林野庁・環境省が連携し、地域エネルギーの安定供給と経済の好循環を作り出す目的で、タスクフォースを立ち上げたことについて書いてみます。
タスクフォース立ち上げの背景
このプロジェクトには、大きく次の2つの目的があります。
- 各自治体が “エネルギーの地産地消” をすることで、災害や国際情勢に左右されにくいエネルギー供給体制を確立する
- 2016年4月にスタートした電力小売自由化による雇用創出や、新たな税収など、地域経済の好循環をつくり出す
但し、これらのエネルギーインフラの整備を行うには、多額のコストと資金回収まで相当の時間を要します。これを民間事業者だけで行うには負担がとても大きいのです。
そこで、各省庁が連携し、初期投資の部分を支援することで事業化を早めたいという狙いがあります。
2016年2月2日に東京で開催された「先進エネルギー自治体サミット2016 ~強靱な地域エネルギーシステムへ~」では、総務省・経済産業省・林野庁・環境省の4省庁が集結し、各省庁からの提言が発表されたそうです。
4省庁の役割とは
現在、輸入に頼ってきた化石燃料による発電を利用していますが、これでは住民・企業が支払うエネルギー代金が地域外や海外に流出しているだけです。
これを、木質バイオマスをはじめとする地域資源を活用したエネルギーに切り替えることで、エネルギーへの支出を地域で循環させて雇用や税収を生み出そうとしています。
総務省は、これまでエネルギー政策については、資源エネルギー庁、木質バイオマスに関しては林野庁などで管轄し、それぞれが政策を立ててきた中で、地域経済好循環を実現する際に最も重要で、難しい部分である設備投資の部分を、他省庁と連携を強めて進めていく方針です。
資源エネルギー庁は、特に距離が長いほどエネルギーロスが生じてしまい、遠隔地への供給が困難な熱エネルギーについて有効活用できれば、エネルギーの地産地消に結びつくと捉えています。
林野庁は、特に再生可能エネルギーである「木質バイオマスエネルギー」の拡大を推進しています。現在、国内の森林資源は、戦後植えた木が大きく育ち、国産材の供給量がアップしているからです。
環境省は、2015年11月にパリで開催されたCOP21で策定された、温室効果ガスの削減という目標があります。そこで注目しているのは、木屑、間伐材といった木質バイオマスエネルギーの適切な資源管理が、同時に森林の管理につながり、CO2の削減の貢献が大きいと期待されている点です。
下図は、首相官邸のサイトに掲載された資料です。(クリックで拡大)
4省庁を横串で繋ぐメリット
こうして、「エネルギーの地産地消」は、それぞれ異なる目的をもった4つの省庁を、横串で繋ぐことを実現しました。
自治体との連携が強い総務省と、それぞれの立場でエネルギー対策や温室効果ガス対策に取り組む資源エネルギー庁・林野庁・環境省がタッグを組み、民間事業者では取り組みにくい設備投資を担い、エネルギー対策の基盤を整えることは意味があることだと思います。
ただ、基盤が整った後は、民間事業者や自治体の知恵が必要で、各自治体からの有効な提案が必要になります。あくまでプロジェクトの主体が、各自治体であることは間違いありません。
ここでも、地方自治体が知恵を絞り、効果的に機能する必要があるのです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.4.12記)