さて今日は、中高層建築物の建設資材として注目されているCLT (直交集成板) の活用促進を進める「CLT議連」が設立されたという、こちらの記事に注目してみました。
CLT (直交集成板) とは?
CLTとは「Cross Laminated Timber」の略称で、ひき板 (鋸などで挽いて切った木の板) を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大型木製パネルを示す用語です。
CLTは、1995年頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい木質構造用材料だそうです。
現在では、オーストリアだけでなくヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されていて、また、カナダやアメリカでも規格作りが行われるなど、CLTの利用は近年になり各国で急速な伸びを見せているとか。
CLTの建築材料としてのメリットは、寸法安定性の高さ厚みのある製品であることから高い断熱・遮音・耐火性を持つこと、また、持続可能な木質資源を利用していることによる環境性能の高さなどが挙げられます。
また、CLTパネルを用いた構法として見ると、プレハブ化や、接合具のシンプルさなどによる施工性の速さや、RC造などと比べた場合の軽量性も大きな魅力です。
日本では2013年12月にJAS(日本農林規格)が制定されました。JASでのCLTの名称は、「直交集成板」となっています。
CLT利用例
一般社団法人日本CLT協会のサイトに掲載されている、CLT利用例の一つとして宮崎大学創立330記念交流会館がありました。
この建物は、CLTをトラスの斜材として使用した珍しいもので、またCLTを使用した宮崎県内初の建築物だそうです。
「CLT議連」の狙い
自民党は、衆参合わせて106人の議員により「CLTで地方創生を実現する議員連盟」の設立総会を、2016年5月13日に開催しました。
当日は、石破茂地方創生担当相を会長に選出し、今後は、国を挙げて非木造の中高層建築などへの需要創出の取り組みを進めることで生産コストを下げ、さらに新しい好循環を生むことで林業県を中心とする地方経済の活性化を目指すとしています。
設立総会開催日には、CLTの現状について林野庁、国土交通省、日本CLT協会が説明を行い、今後の活動方針に続いて「CLTで地方創生を実現するための決議」が行われました。
また、地方自治体を代表して「CLTで地方創生を実現する首長連合」の尾崎正直高知県知事、太田昇岡山県真庭市長が出席。国を挙げてのCLT活性策の促進に期待が示されました。
最後に
「CLTで地方創生を実現する首長連合」は、「CLT議連」設立に先立ち、昨年 (2015年) 8月に設立されました。
この会は、尾崎正直高知県知事、太田昇岡山県真庭市長が設立発起人となり、CLTの早期普及に向けて各地域が連携して取り組むことで、建築物の木造化の推進と併せて、CLT関連産業の育成を進め、地域の振興につなげ、地方創生を実現することを目的としています。
日本では、これまで森林資源の活用を目指し、林業振興に取り組んできました。
今後、2020年東京五輪の選手村などの関連施設にCLTを活用するよう、東京都や国に働きかけているそうです。
今回、自民党議連が発足したことで、その動きが加速されると思われます。
ヨーロッパでは、戸建て住宅はもちろん、中高層の集合住宅でのCLTの利用も多いことから、日本でもCLTを活用した中高層の集合住宅や公共の建築物が増えそうです。
この取り組みは、特定地域に留まらず日本全国にその効果が波及することが期待できます。
・・・ということで、今後のニュースに注目していきたいと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.5.15記)