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地方創生・・・ 総務省が進めてきた実証事業の成果により、普及が期待される ” ふるさとテレワーク ” ! (2)

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さて、昨日は総務省が推進している「ふるさとテレワーク」の内容と実証事業について、その概要を見てみました。

今日は、実証事業の成果を生かして、今後どのような方針で取り組んでいくのか見てみたいと思います。

「ふるさとテレワーク」の狙い① 新しい人の流れを創る

「ふるさとテレワーク」は、地方にテレワーク拠点を作り、東京の仕事をそのまま地方で行えるようにする取り組みです。

これにより、地方に企業や移住者を誘致し、新しい人の流れを創ることで、2020年までに地方から東京圏転入を6万人減らし、東京圏から地方転出を4万人増やす目標を描き、東京一極集中を防ぐとしています。

「ふるさとテレワーク」の狙い② 人材不足の解消

企業の視点に立って考えると、「ふるさとテレワーク」のような仕組みがなければ、近い将来「事業が立ち行かなくなる」懸念があります。

理由は「人材不足/急な欠員」です。

2016年1月に発表されたエン・ジャパンの調査結果では「84%の企業が人材不足を実感」と報告されています。

そして、2015年に実施された国勢調査の人口速報で、ついに1920年 (大正9年) の調査開始以来「初めての減少」となってしまいました。

今後は坂道を転げ落ちるように人口減少が続くと予測されており、企業の人材確保はますます難しくなっていきます。

今後の人材不足解消に有力な「女性の活躍」ですが、依然として、出産・育児期の30代前半で一時的に労働力率が下がる「女性のM字カーブ問題」が存在します。

現状、女性が働き続けられる環境が社会的に整っているとは言いがたく、保育園が決まらず、そのまま離職せざるを得ないケースがあることも、最近の「保育園落ちた」問題で報じられている通りです。

企業においては、女性の「急な欠員」によって業務が停滞するケースも十分考えられます。

この問題については、東京一極集中をなんとか解消しないと、一時的に保育園を増やしても、待機児童問題はなくならないと言われてます。

そのために「東京の仕事を地方でも行えるようにする」、それが長期的な解決策と言えます。

加えて、今後急増が予想されるのが「介護離職」です。

平成27年 (2015年) 版高齢社会白書(概要版)」によると、高齢化率は26%に上昇しました。人口そのものが減少する中、65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,300万人となっています。

そして昨今、社会問題となっているのが「認知症高齢者の徘徊問題」です。

最近、地域で高齢者を見守るような取り組みも始まっていますが、政府の方針が「在宅介護重視」なことからも、家族の介護にかかる負担は大きなものとなっていて、介護離職の問題がクローズアップされてきました。

この問題については、当ブログのこちらの記事でご紹介したように、「第16回テレワーク推進賞」の最上位の賞である「会長賞」を受賞した佐賀県庁の取り組み例があります。

前佐賀県知事の古川康氏が他県に勤務していた際、優秀な女性職員が仕事と育児の両立が困難となり退職してしまったことが、大きなきっかけになりました。

そして、佐賀県知事就任後、育児や介護をきっかけとした退職を防ぐための施策の1つとしてテレワークの導入を強力に推し進めて、成果を挙げたのです。

実証実験で検証できたこと

総務省が行った今回の実証事業で、テレワークという働き方を地域が知ったことは「大きな成果」とされています。

今後の推進にあたって、自治体の参考となりそうな「何が企業のモチベーションとなるのか」も見えてきました。

「福利厚生」「社員育成」「人材確保」「生産性向上」「その他」の5点です。

自治体が「ふるさとテレワーク」に取り組むとしたら、費用も含め、自治体が力を入れて、地域全体で受け入れることが重要です。

地域に企業が来たのに誰も“おもてなし”しなかったら――?リピートはあり得ません。これは観光と一緒です。

こうして、2016年4月22日に、各実証地域の成果を報告する「ふるさとテレワーク推進会議(第5回)」が開催されました。

そして、2016年度の方針として、総務省は「平成28年度ふるさとテレワーク推進事業」として事業を継続し、計7.2億円の予算を計上したのです。

推進したい自治体を対象に、上限4000万円の定額補助として、古民家・廃校・公営住宅などの既存施設をサテライトオフィスに改修する初期整備や、ICT導入整備などを支援していく計画です。

「地方創生加速化交付金」なども始まっており、働き方改革、ワークライフバランスの実現といった事業が交付対象となるため、アイデア次第で「ふるさとテレワーク」の補助金と組み合わせることも可能になっています。

そのほか、事業者・利用者の意識を改革してテレワークの裾野を広げるため、事例紹介やセミナーを実施し、「女性の活躍推進」や「介護離職ゼロ」に向けて、本格的な全国展開を図るとしています。

最後に

今後は、企業もテレワーク制度を作って、意識を変えていかなければいけないですし、それを支える政府の支援や規制緩和も重要になってきます。

「ふるさとテレワーク」はたくさんの課題を解決していかないと成功しません。地方にサテライトオフィスを構えて、ICTで環境を整えればOK、というような簡単なことではないのです。

ただ、逆にこういったことをしっかりやれば、地域と企業はつながっていけると、今回の実証事業でかなり証明されたという評価です。

「ふるさとテレワーク」は簡単ではない

中央省庁の地方移転が検討され、結果として現在決まっているのは、文化庁の京都移転だけですが、行政として一つのお手本を作る意味はあると思います。

時間と場所に縛られない新しい働き方を模索し、数々の問題点を解決した上で、出産・育児で退職せざるを得なかった女性や定年退職後の高齢者だけでなく、若い世代も活躍できる「ふるさとテレワーク」社会が実現することを大いに期待したいと思います。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
 
 
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(2016.5.11記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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