さて、今日は総務省が実証事業を進めている「ふるさとテレワーク」について見てみます。
テレワークとは?
テレワークは「ICTを活用した、場所や時間にとらわれない働き方」と定義されています。
(株)テレワークマネジメント代表の田澤由利氏によると、その分類は、社員が在宅で行う「雇用形」「在宅型」だけでなく、「自営型」「モバイル型」も含めた多様な組み合わせとなります。
分類には「クラウドソーシング」が含まれているのも興味深いです。(クリックで拡大)
数十年も前から言われ続けているテレワークが、最近になって再び注目を集めている理由は、いくつかの「社会的背景」とそれに伴う「機運の高まり」があるからです。
ふるさとテレワークの必要性
最大の社会的背景は、言うまでもなく「日本の人口減少」です。
2015年に実施された国勢調査の人口速報で、実際に人口減少期に入ったことが示されました。
それは、今後の労働人口の減少を意味し、出産・育児で退職した女性や、定年退職後の高齢者が働きやすい環境を整え、労働人口減を補うことが急務となっているのです。
また、ICT技術の進展で、通信環境、テレビ会議、モバイル端末、Wi-Fiなどが進化し、技術的に十分テレワークがしやすくなってきています。
そうした中で、内閣府の重要課題としてテレワークの有用性が認識されるようになりました。
更に、人口減少に加え、東京への人口集中によって地方の過疎化が進み、2040年には全国896の市区町村が行政機能を維持できなくなる「消滅可能性都市」に該当すると指摘される昨今。
「地方での安定した雇用の創出」「地方への新しい人の流れを作る」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える」などが、喫緊の課題となってきました。
こうして「ふるさとテレワーク」を、総務省が中心となって推進することになったのです。(クリックで拡大)
「ふるさとテレワーク」の実証事業
徳島県神山町では、県内全域をカバーする高速ブロードバンド網を土台に、古民家再生、移住者やサテライトオフィスの誘致に成功し、平成23年に「転入>転出」の人口社会増を達成しています。
当ブログでもこちらの記事などでご紹介していますが、そこでICTが果たした役割はとても大きいのです。
総務省としては、第2、第3の神山町を作らなければいけないという問題意識があり、「地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fiなどの活用に関する研究会」を開設しました。
そして、地方創生に貢献するICTの活用策を検討する中で「ふるさとテレワーク」の話が立ち上がったのです。
2015年7月7日に委託先候補が決まり、全国15地域で実証実験が開始されました。
約180社の協力会社から、のべ約1000人が実際に移住するという規模の大きな取り組みです。(クリックで拡大)
そして、2016年4月22日に「ふるさとテレワーク推進会議(第5回)」が開催され、各実証地域の成果が報告され、今後の方針が示されました。
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さて、長くなってきたので、今日はここまでにしましょう。続きはまた明日。
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(2016.5.10記)