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地方創生・・・全国で地道に進む地域再生策 “田園回帰1%戦略” とは?

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さて、これまでは国主導の地方創生策を中心に考察を進めてきました。今日は、全国で地道に進む「田舎の田舎」戦略ともいうべき取り組みについて見てみることにします。

中央集権的な政策は空回りという見方

2015年に行われた国勢調査の人口速報で、日本の全人口が減少に転じたことが、初めてデータとして示され、なおかつ地方の人口減が加速し、東京一極集中が更に進んでいることが明らかになりました。

政府は「地方創生」を掲げ、地方自治体も国の交付金を期待して、2015年3月末までに「地方版総合戦略」を策定しました。

しかし、その多くは現行の総合計画を焼き直したにすぎないとも言われています。

大きな話題になった政府機関の地方移転も、これまでに決まったのは文化庁の京都移転のみ。これまでを振り返って、中央集権的な政策では地方創生は空回りするだけ、という論調も目立ってきました。

注目される「田園回帰1%戦略」とは?

「田園回帰1%戦略」とは、島根県立大教授の藤山浩さんが、1998年以来取り組んできた成果です。

その内容は、人口減、超高齢化に悩む中山間地や離島で定住人口を増やす戦略です。藤山教授は「田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す」という書籍も出版されています。

田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す (シリーズ田園回帰)
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藤山教授は、こう話しています。

「これまで自治体はあまりに『外貨獲得』に重きを置いてきた。その御三家が大企業誘致、観光客誘致、特産品開発。否定はしないが、こればかりを狙って三振を繰り返してきたのが多くの地方の歴史ではないか」

そして、「田園回帰1%戦略」が主導しているのは、次のような取り組みです。

毎年その地域人口の1%を増やす。人口5千人の村なら、50人の移住者を受け入れる。そうすれば30年後には現人口の9割以上を保て、高齢化率も下がる。

500人の地区でみれば目標は5人。子ども連れの家族なら1〜2家族で事足りる。

これは、若者の田園回帰が田舎で進む現象をとらえた戦略。空き家補修や仕事の斡旋(あっせん)など、地域が率先して受け入れ環境を整える。

さらに、域外から購入していたモノやサービスの金額1%分を自分たちの域内で調達すれば、地域は維持できる。

島根県の実績

ちなみに、藤山教授が提唱している「田園回帰1%戦略」を推進してきた島根県は出生率の高さが全国2位、県庁所在地の松江市は住みやすさが全国1位です。

島根県では、2008年〜2013年の5年間で1人以上人口が増えた地域が73と、全体の3分の1以上を占めています。

下図は、藤山教授が作成した「田園回帰の現状と戦略 〜人口と所得の1%を取り戻す〜」という資料から引用した図です。(クリックで拡大)

図①

なお、島根県は全国47都道府県の中で、面積では19位ですが、人口では46位、人口密度でも43位です。(こちらのデータ参照)

そして、藤山教授は、全国の「山間地域」についても「1%戦略」は有効としています。(クリックで拡大)

図②

最後に

先日、このブログで「シングルマザーの移住支援を行う島根県浜田市の取り組み」という記事をアップしました。

浜田市の他にも、島根県の中部に位置する邑南町 (おおなんちょう) が「日本一の子育て村」として、ひとり親に限らず、子供がいる人に対するさまざまな支援を行い移住をバックアップしています。

そうした移住支援の取り組みといい、「田園回帰1%戦略」といい、官学それぞれに知恵を絞って取り組み、実績を挙げている島根県は注目に値します。

こうした事例を積み重ねることによって、補助金・交付金頼みの地方自治体ではなく、自分たちできちんとした取り組みをして実績のある自治体として胸を張り、中央に対して正々堂々と財源移譲を求めることができるようになるのではないでしょうか。

それが、地方分権の進め方のように思います。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
 

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(2016.4.27記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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