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さて、先日 (2016.9.13) 「省庁移転がこれでは地方創生はかすむ」というタイトルの日本経済新聞の記事が配信されました。
今日はその記事を読んで感じたことを書いてみます。
日経記事の要点
記事では、今回政府が取りまとめた中央省庁の地方移転方針について、当初の目論みに比べて極めて小規模な内容に留まったため、これでは安倍政権が掲げる地方創生は失速しかねないのではないか、と指摘しています。
中央省庁の地方移転に関しては、当ブログでも度々取り上げてきましたが、東京一極集中の是正を狙い、民間企業の東京本社の地方移転を促すべく、政府が先陣を切るべく打ち出した方針でした。
それが結局、全面移転する省庁は文化庁のみ、消費者庁が徳島に、総務省統計局が和歌山にそれぞれ拠点を設けて一部の業務を移すのみと決まりました。
日経記事の一部を引用します。
今回の決定はテレビ会議システムなどを使って実際に徳島などで実証実験した結果という。政府がまとめた検証内容をみると「(テレビ会議では)多人数での意見調整がしづらい」「全国からのアクセスが問題」などと、移転できない理由ばかり並んでいる。
国会への対応や危機管理の面で地方に移しづらい業務は確かにあるだろう。一方で、地方への移転は政府内の仕事の進め方や職員の働き方を見直すきっかけにすべきだったのではないか。
(中略)
地方を活性化するためには、障害となる規制をなくすなど息の長い取り組みが必要だ。何よりも自治体や地域企業、住民の努力にかかっている。
そういう意味で政府機関の地方移転は手段のひとつでしかないといえるものの、地方創生という旗がこれでさらにかすみはしないか心配だ。
これからが本番ではないか
日経記事にあるように、地方創生は「息の長い取り組みが必要」です。
中央省庁の地方移転についても、息の長い取り組みが必要ではないでしょうか?確かに、今回移転が決まったのは、極めて少数ですが、これで未来永劫移転の検討はしない、ということなのでしょうか?
そうではないと思います。
京都に全面移転する文化庁、徳島と和歌山に新拠点を設置する消費者庁と総務省統計局で、いわばやっと実質的な検証がスタートするわけです。そうしたプロセスを経て、やっと「霞ヶ関の仕事のあり方」を変えていけるのではないでしょうか?
日経記事で紹介している、これまでの検証結果については、勝手な推測ですが、まず最初に「移転しない (したくない) 」官僚の本音があり、そのために「移転できない」理由をあげつらっているようにも見えます。
これも勝手な意見ですが、「移転できるか、できないか」で検討したら、こういう結果になるのは目に見えていると思います。
そうではなく、まず「移転する」という方針があり、その方針に沿って「どうしたら移転できるか」「何が問題点で、それはどうしたら解決できるのか」という検討をしなければ移転できないのではないでしょうか?少々乱暴な意見であることは承知していますが…
例えば、「テレビ会議では、多人数での意見調整がしづらい」のであれば、国会・中央省庁・地方自治体・出先機関にテレビ会議網を設置し、多人数が参加できるインフラが整えば解決するかもしれません。まずは、そうした検討を進めることが必要でしょう。
いずれにしても、1年・2年といった短期間ではなく、10年・20年といった長期的な取り組みが必要なのが地方創生であると思います。
粘り強く取り組まないと、石破茂 前・地方創生担当大臣が指摘していた人口減という日本の「静かなる有事」は、ジワジワと日本を浸食していくことになります。
というわけで、中央省庁の地方移転という課題も、これで終わり、ではなく、これからも継続検討すべき、と思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.9.15記)