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さて、8月の内閣改造で閣内に留まることを固辞した石破茂 前・地方創生担当大臣ですが、最近では「ポスト安倍」の一番手として、次の総裁選出馬へ意欲を見せています。
そんな中、石破氏のインタビュー記事が配信されました。(こちらの記事参照)
そこで、今日は石破氏が考えている次期政権構想の経済政策に、色濃く反映されている地方創生の考えを纏めてみたいと思います。
地方創生をやり遂げるには20年はかかる
インタビュー記事の冒頭、石破氏は地方創生担当大臣を務めた2年間の成果を聞かれ、次のように答えています。
いわば、「地方創生」とは、「地方こそ、日本経済の成長ののびしろ」ととらえる一方で、明治以来の日本の中央集権の政治のあり方や人々の意識を、未来に向けて変えていくという大きな政策課題です。
やり遂げるには20年くらいかかると思います。2年で変わるくらいだったら、誰も苦労しません。「2年経ったが成果が出ていないじゃないか」という人は、物事の本質をわかっていない人だと思います。
また、安倍政権が2015年からメインテーマとして掲げている「一億総活躍社会」について石破氏は、「地方創生」の一部あるいは延長線上にあると指摘しています。だからこそ、地方創生担当相を続けたのだと。
そして、日本全国に意識改革を広め、変化を不可逆的なものにすべく務めてきたと言います。しかし、一大臣が一所懸命にやっても限界があることを指摘し、政権全体の強い意思として「地方創生」に継続して取り組んでいくことを希望しています。
次期政権構想の経済政策は「ローカル」と「住宅」
石破氏は、経済政策の一つとして「地方の生産性向上と成長」をあげています。それを、従来型の公共事業や企業誘致ではない、新しい形で成長を促すことが重要だと指摘します。
例えば、地方では、今まではおコメを作ればJAが代わりに売ってくれたし、旅館を営業していればJTBがお客さんを連れてきてくれた。そこには生産性を上げて、「もっと稼ぐぞ」というマインドを醸成する要素がありませんでした。
逆に言えば、地方はそれだけ、伸びしろが大きいということです。地域毎に知恵を絞り、独自の付加価値を見出し、磨くことで、今以上の「稼ぐ力」が期待できるのです。
同時に、この国の人口減少をなんとか止める必要があります。地方創生の大きな眼目になっている人口減少対策は、地方衰退の原因にもなっている、東京への一極集中の是正です。
地方が従来型ではない新しい形での産業を興し、生産性を上げることで、地方に人が戻っていく。経済においても人口においても、地方において再生産するメカニズムを機能させるのだ、と石破氏は言います。
経済政策で、もう一つ石破氏があげたのが「住宅対策」です。日本人が、いつまで経っても「幸せを感じることができない」一つの原因として、住宅事情があります。
石破氏は、子供のいる若い夫婦が、3人で狭い2DKに住むことは、幸せなのか?と問題提起し、かたや、1970年代以降、郊外に大量に建てられた一戸建て住宅は、いま子供たちが巣立ち、老人夫婦だけになっているところが急増している現状を指摘します。
こうした人たちが、子供のいる若い夫婦に家を貸せば、老人夫婦は賃貸収入を得ることができて老後の不安が解消され、若い夫婦は都心から1時間のところで庭付き1戸建ての家に住むことが可能になり、双方がハッピーになります。
こうした人々のニーズに対して、制度はいまだ昔のままであり、十分に応えられていません。中古住宅の流通改革も、リフォーム時の金融税制などもさらに進めていく必要があるでしょう。
今や約1,700兆円といわれる個人金融資産の大半は、高齢者層の手元にあります。日本版REITやリバースモーゲージなども組み合わせて政策を推進していくことで、1%の17兆円でもマーケットに出せれば、経済は活性化すると石破氏は考えています。
また、住環境を充実させることで、若い世代が「もう一人子供を作ろうか」と自然に考えるようになり、次世代につながるのではないか、と期待しています。
最後に
石破氏は、インタビューの中で「そもそも経済政策とは何でしょうか?」と問いかけています。
アベノミクスにより、大胆な金融緩和で円を下げ、株価を上げることに成功しました。しかし、現状では、とうとうマイナス金利まで導入しているのに、ほとんどの経営者は、こんなに金利が低くても、おカネを使おうとしません。
石破氏は、次のように指摘しています。
機動的な財政出動にも、それによって人口が増えるのか、経済が成長するのかという視点が欠かせない。また、未来永劫続けられるものでもない。
「新しい消費を喚起するには」「生産性向上に寄与する公共事業とは」など、考えねばならないポイントは多くある。
石破氏は、安倍政権の次を準備することは、自民党の責任だと言います。また、一国の総理となる以上、国民が納得する政策構想をきちんと立案しておくことは必須であり、「準備不足」ということは許されない、とも言っています。また、そのためにはどんなに短くても2年は必要だと主張します。
次の首相として「岸破聖美」(岸田文雄外相、石破茂前地方創生担当相、野田聖子元総務会長、稲田朋美防衛相)4人の名前が、最右翼としてをあげられています。
当ブログでは、今年に入り地方創生をテーマにした記事を160以上アップしてきて、石破氏の地方創生担当大臣としての活動を追ってきました。また、同じ大学の同窓として (学年は一つ違い) 、石破氏には大いに活躍して欲しいと個人的に思っています。
そして、これからもどのような政権構想を練っていくのか、興味深く見ていくつもりです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.9.16記)