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さて、昨日は、9月に開催された国家戦略特区の司令塔である「特区諮問会議」で、小池都知事が積極的な取り組みを表明したことをご紹介しました。
舛添要一知事時代は、「『国家戦略特区』推進のために、都知事が存在しているわけではない」と極めて消極的な姿勢だったものを、180度転換したのです。
そして、この「特区諮問会議」の最後に、小池都知事は内閣府の担当者たちの度肝を抜く発言をしました。
「なお、もう一つお願いがございまして、区域会議の事務局でありますけれども、ぜひ円滑に進めるために東京都にも事務局を担わせていただければと思っておりまして、よろしくお願い申し上げます」
「区域会議」とは?
小池都知事の言う「区域会議」とは、どういったものなのでしょうか。
内閣府地方創生推進事務局のサイトによると、「国家戦略特別区域会議」について、以下の説明があります。
国家戦略特別区域においては、区域計画の作成、認定区域計画及びその実施に係る連絡調整並びに産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関し必要な協議を行うため、区域ごとに国家戦略特別区域会議を組織することとしています。
この区域会議では、特区を担当する大臣と、特区に指定された10の地域それぞれの首長、特区で特例を受けて実際に事業を行う民間事業者の三者が集まって具体的なプランを作っています。
各省庁の大臣らも参加できますが、最終的には三者の意見に従うことになっているのです。つまり、区域会議とは独立国家の司令塔のような存在なのです。
小池都知事の本気度
従来、この区域会議の事務局は内閣府に置かれていましたが、小池都知事は、これを東京都と共同の事務局にして欲しいと提案したのです。東京都の「本気度」を示す提案だと言えます。
小池都知事は、知事選に立候補する際、周知の通り自民党との間に確執がありました。そして、自民党東京都連が中心となって推した増田寛也・元総務大臣を大差で破ったため、都連会長だった石原伸晃氏を会長辞任に追い込んだ経緯があります。
その石原氏も出席していた特区諮問会議で、小池都知事は全面的に安倍首相に「従う」姿勢を見せつけたのです。
アベノミクスの成果を国民に示したい安倍首相からすれば、最大の経済基盤である東京都が本気で改革に乗り出すかどうかは、特区の成否に直結します。小池都知事の協力姿勢は、実にありがたく感じるはずです。
小池都知事にしてみても、安倍首相とその周辺に太いパイプを構築することは、今後の取り組みに大いにプラスになることでしょう。
最後に
東京都が、国家戦略特区として改革の先端を走るようになれば、停滞が指摘されるアベノミクスの三本目の矢、つまり規制改革で目に見える成果が出始めるかもしれません。
今回の、小池都知事の積極姿勢は、都知事選挙に出馬した際の公約「東京大改革宣言」の5番目「特区制度の徹底活用」を具現化したものでしょう。
「東京大改革宣言」
- 都政の透明化
- 五輪関連予算・運営の適正化
- 行財政改革の推進
- 都知事報酬の削減
- 特区制度の徹底活用
このうち4番目の「都知事報酬の削減」については、既に条例案が提出され、都議会の本会議で近々成立する見通しとなりました。(こちらの記事参照)
そして、5番目の「特区制度の徹底活用」への取り組み姿勢を鮮明にしたわけですが、1番目から3番目については、これからさらなる紆余曲折が予想されます。
というわけで、これまで長年にわたり沈殿してきたと思える東京都政の膿みを出しきる改革が実現するかどうか、引続き注目していきたいと思います。
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では、今日はここまでにしましょう。
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(2016.10.10記)