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さて、今年に入ってから、これまで「地方創生」をテーマに、176記事をアップしてきました。
石破茂 前・地方創生担当大臣が「静かなる有事」と喝破した日本の人口減少トレンドですが、それを食い止めるためには、「人口増」「経済成長」を前提とした日本の行政組織を変革し、地方分権を進めるしかないのでは、と思うようになりました。
そして、最近読んだ本に「なぜローカル経済から日本は甦るのか」という本があります。
たいへん興味深い内容だったので、今日から複数回に分けて、その内容をご紹介したいと思います。
景気が悪くても人手不足
日本経済を振り返ると戦後の高度成長期に急激に需要が増えて、供給を増やすために人手が足りなくなりました。
そして、バブル崩壊で急激に需要が落ち込み、供給を調整する過程で人手が余った時期がありました。
しかし、現在そして今後数十年は、景気が良かろうと悪かろうと、少子高齢化による人手不足が慢性化していきます。
このトレンドは地方経済から始まりました。中央より地方のほうが、生産労働人口の減少が先に起こっているからです。
アベノミクスにより大手製造業を中心に業績回復
安倍政権による経済政策で、大手製造業を中心に業績が上向き、有効求人倍率も1を超えるようになりました。
しかし、日本のGDPと雇用のおよそ7割を占めるのは、製造業ではなくサービス産業です。しかも、サービス産業は、世界で勝負するようなグローバル企業ではなく、国内各地域内の小さなマーケットで勝負するローカル企業が大半です。
そうしたことから、これからの日本の経済産業は、ローカル経済圏のサービス産業の行く末で大きく左右されると考えられます。
グローバル企業 (G) とローカル企業 (L) の棲み分け
この本の著者は、世界で勝負できる製造業やIT産業のグローバル企業には、いわばオリンピック日本代表として金メダルを目指して頑張ってもらい、それはローカル経済圏の持続性にとっても重要だと指摘します。
一方、大半のローカル企業は、いわば国体出場と優勝を目指してはどうか、と言います。戦後の高度成長モデルは、トヨタのようなグローバル企業に、系列を含めた部品工場などのローカル企業が連なる構図でしたが、工場の海外進出と共にその構図は崩れています。
よって、大手製造業の業績が良くなれば、それが順番に下請け・孫請けに回ってくるという考え方は、もう通じないのです。
グローバル (G) とローカル (L) 、二つの経済圏の直接的な関連性が希薄になっている今、それぞれの分野に対峙する必要があるのです。
それでは、地方創生にとって中心となる「ローカル (L) 」の分野で、著者はどのような処方箋を提示しているのでしょうか?
それは、次回以降で見てみたいと思います。
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では、今日はここまでにしましょう。
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(2016.10.22記)