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さて、「今日の一言メモ」第707回です。
「骨折り損の草臥れ儲け」
骨折り損の草臥れ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)とは、苦労するばかりで利益はさっぱりあがらず、疲れだけが残ることです。
苦労するだけで結果が報われないことを「骨折り損」とし、「草臥れること」だけが儲けだと比喩しているのです。「骨を折る」は、苦労するという意味になります。『江戸いろはかるた』の一つだそうです。
木こりのジレンマ
「木こりのジレンマ」という寓話があります。ご存知の方も多いと思いますが、木こりが骨折り損の草臥れ儲けをしてしまう以下の内容です。
あるところに、一人の木こりがいました。彼はとても働き者で、1日に20本の木を切り倒すことができました。
彼は毎日毎日、額に汗して一生懸命働きました。ところが、1日に切り倒せる木が段々少なくなってきて、とうとう10本位しか切り倒せなくなりました。毎日毎日使い続けて、斧の刃が鈍ってきたのです。
見かねた村人が木こりに声をかけました。『斧の刃を研いだらどうだい?』
木こりが答えました。『そんな暇はないんだよ!』……
このお話しは、「目の前の作業をこなすのに精一杯で、それを効率良く進めるように工夫する余裕がない」様子を表したものです。遮二無二働けば働くほど骨折り損の草臥れ儲けになるわけです。
もちろん、この話が実際に伝えたいのは、「目の前の作業に夢中になりすぎるのではなく、いったんそれを止めて、効率良く進めるための工夫をすれば、同じ作業をもっと楽に進められるようになり、全体として時間あたりの効率が上がる」ということです。
「作業」だけでなく、「仕事」をする
最近では「同一労働同一賃金」と言われるようになりました。ただ、同じ労働をしているように見えて、ただひたすら決められた通り目の前の作業をこなしている時間と、同じ作業をこなしつつどうしたらもっと速く処理できるか、もっと効率よくできるか考えながら作業している時間では意味が違います。
前者は、アルバイトがする労働です。時給いくらで何時間働いてどれだけたくさんの作業をこなせしたかで評価されます。一方、後者は社員がする労働です。作業のやり方を変えることで、1時間で1.5倍こなせるようになるとか、2人でやっていたことが1人でできるようになったりします。
いってみれば「作業」は「ひたすらこなす時間消費」と言えますし、「仕事」は「未来を生み出す時間投資」と言えます。作業のみしている人と、作業をしているように見えて仕事をしている人を「同一労働同一賃金」と一括りにするのは無理があるでしょう。
木こりが斧を研ぐ時間が必要なように、一日の労働の中身を作業と仕事に分類し、仕事をする時間を捻出する努力が必要でしょう。
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さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!
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(2021.4.22記)