さて、富田の座右の書であり、ビジネス書大賞2013の大賞を受賞した「WORK SHIFT」を再々読し、感じていることを書いてきましたが、今回はいよいよ最終回です。
これまで、本書に記載された3つの働き方のシフトのうち、以下の2つについてご紹介してきました。
第1のシフト「ゼネラリストから『連続スペシャリスト』へ」
第2のシフト「孤独な競争から『協力して起こすイノベーション』へ」
今回は、第3のシフト「大量消費から『情熱を傾けられる経験』へ」について書いてみます。
未来を形づくる5つの要因と、「主体的に築く未来」を実現するために働き方をシフトする
繰り返しになりますが、まずは「働き方の未来を変える要因」のおさらいです。
●要因1 テクノロジーの進化
●要因2 グローバル化の進展
●要因3 人口構成の変化と長寿化
●要因4 個人、家族、社会の変化
●要因5 エネルギー・環境問題の深刻化
そして、この5つの要因への対応如何で、未来予想図が「『漫然と迎える未来』の暗い現実」「『主体的に築く未来』の明るい日々」と全く異なってきます。
この「主体的に築く未来」で明るい日々を過ごすために、以下3点の通り働き方をシフトしていく必要があると本書は説いています。
●ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
●孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
●大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
この、第3のシフトについて、本書では「働き方の未来コンソーシアム」で調査した、参加者の意見が繰り返し登場します。以下、抜粋してみます。
「現場管理職より上に昇進することなく、ストックオプションで巨万の富を築くこともなく、よき父親として、あるいは自分の成長を重んじる人物として、職業人生を終えた人物がメディアで称賛を浴びることなど、あるのでしょうか?」
そして、非営利団体の管理職の言葉も紹介されています。
「業績をあげた人物に高給で報いることができない組織は、代わりにどのような『報酬』を提供できるのでしょうか?
私の場合、リーダーシップを振るい、責任を与えられ、意思決定をくだす経験がとても大きな報酬になっています。
そのおかげで、仕事を通じて幸せを感じられています。このような機会が得られるとわかっていれば、物質的な要素はもっと早く捨てていたのに。」
こうした意見に端的に示されているのはなんでしょう?それは、お金と消費という物質主義から、既に次のステージに移っていることです。
日本でも、最近の若い人達は自動車を買わなくなっていると言われています。一時期に比べて、プラダ等のブランドバッグを持っている人も少なくなってきたように感じます。
もう、そうした物質的な欲求を満たすことに、重きを置いていないのでしょう。
本書で紹介されている「第3のシフト」を実践すれば、仕事が大量消費のための金を稼ぐ手段ではなく、充実した経験をする機会に変容することになります。
つまり、働くことは、充実した経験をするため。それが幸せの土台になるというわけです。
「働き方の未来を変える5つの要因」により、さまざまリスクを承知の上で、ミニ起業家への道を選択したり、家族や友人と過ごす時間を確保するために柔軟な勤務形態やジョブシェアリングを選択することが可能な時代になってきました。
未来の世界では、こうした選択肢がますます大きく広がっていくでしょう。
かつては、企業が社員の代わりにすべてを決めていたものの、これからは自立した働き手が自分の働き方を主体的に選ぶケースが増えていくことが予想されます。
しかし、主体的な選択がもたらす結果について、すべての責任を自分でとる覚悟が必要になってきます。
本書では、「第3のシフト」の最期に次のように記載されています。
私たち一人ひとりにとっての課題は、明確な意図をもって職業生活を送ることだ。
自分がどういう人間なのか、人生でなにを大切にしたいのかをはっきり意識し、自分の前にある選択肢と、それぞれの道を選んだ場合に待っている結果について、深く理解しなければならない。
そのためには、自分が望まない選択肢にきっぱりノーと言う勇気が必要だ。
自分が大切にしたい要素を優先させる職業生活を送れる場を積極的に探す姿勢が必要だ。
「普通」でありたいと思うのではなく、ほかの人とは違う一人の個人として自分の生き方に責任をもち、自分を確立していく覚悟が必要だ。
「WORK SHIFT」読後感
本書では、最期に「エピローグ 未来のために知っておくべきこと」が書かれていますが、ここでは割愛します。
本書を2回読み返してみて感じることは、これまでこのブログでも何回か書いてきたことですが、自分自身の意思で未来に立ち向かう勇気と、その結果についてすべての責任を自ら負う覚悟が必要である、ということです。
アドラー心理学について書かれた書「嫌われる勇気」で触れられている勇気と覚悟、そして「社会人版キムゼミ」でジョン・キム先生から教わった「不可抗力に対するのではなく、可抗力に対すること」、そして、その結果を受け入れる勇気と覚悟、それらに通じることです。
富田が今チャレンジしている、ITコンサルタントとはまた別の「終活」を中心に据えたプロジェクトは、第1のシフト「連続スペシャリスト」を目指す活動の一環です。
そして、そのプロジェクトを共に推進しているメンバーは、「自分をつくる学校」コミュニティを中心とした友人達であり、第2のシフト「協力して起こすイノベーション」を目指しているものです。
最期に、多くの人のお役に立つこと、社会に貢献することをビジネスと融合することによって、第3のシフト「情熱を傾けられる経験」に繋げていきたいと思っています。
まだまだ、道半ばではありますが、これからも試行錯誤を重ねながら、自分なりの「WORK SHIFT」を果たしていきたいと、本書を2回読み返してみて、改めて決意している次第です。
・・・・・・・
さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!(^_^)
・・・・・・・・・・・・
(2014.4.15記)