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11月25日は、1970年に三島由紀夫が割腹自決した日、改憲論議は?

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「今日は何の日?」シリーズ116回目です。

今から44年前の1970年11月25日に、日本を代表する作家の三島由紀夫が、市ヶ谷の自衛隊・東部方面総監部で割腹自決しました。

この日は「憂国忌」となっています。これは、三島の小説作品「憂国」にちなんで付けられたものです。

三島由紀夫の思い

俗に「三島事件」と呼ばれるこの事件は、三島由紀夫が、憲法改正のため自衛隊の決起 (クーデター) を呼びかけた後、割腹自殺をした事件です。

三島由紀夫は、「仮面の告白」「潮騒」「金閣寺」「鹿鳴館」「鏡子の家」「憂国」「サド侯爵夫人」「豊饒の海」等々、数々の代表作を残し、ノーベル文学賞候補にもなり、海外でも著名な日本の作家でした。

この事件は日本社会に大きな衝撃をもたらしただけではなく、海外でも国際的な名声を持つ作家の起こした異常な行動として大きなニュースとなり注目を集めたのです。今でいえば、村上春樹氏が起こした事件とでも例えればいいでしょうか。

この時、自衛隊員に呼びかけた演説の一部です。

自衛隊員たちへ撒いた檄文には、戦後民主主義と日本国憲法の批判、そして、日米安保体制下での自衛隊の存在意義を問き、決起および憲法改正による自衛隊の国軍化を促す内容が書かれていました。

三島は、ある時以下のように述べていました。

「私は、私の考えが軍国主義でもなければ、ファシズムでもないと信じています。私が望んでいるのは、国軍を国軍たる正しい地位に置くことだけです。国軍と国民のあいだの正しいバランスを設定することなんですよ。

(中略)

政府がなすべきもっとも重要なことは、単なる安保体制の堅持、安保条約の自然延長などではない。集団保障体制下におけるアメリカの防衛力と、日本の自衛権の独立的な価値を、はっきりわけてPRすることです。

たとえば安保条約下においても、どういうときには集団保障体制のなかにはいる、どういうときには自衛隊が日本を民族と国民の自力で守りぬくかという“限界”をはっきりさせることです。」

— 三島由紀夫「三島帰郷兵に26の質問」

また1967年に行われたある対談では、次のように述べています。

「自分は憲法に対して『現実主義の立場に立ちたい』が、『現状肯定主義』ではあってはならないと思う。このまま日本国憲法第9条を改正しないまま『解釈』で『縄抜け』するという論理的なトリックには疑問を感じるし、憲法を軽蔑している。

憲法改正への法的手続(国会の三分の二と、過半数の国民投票という二段構え)のハードルの高さもあり、憲法第9条はクーデターでしか変えられない。」

憲法第9条の意味を問う

今年の憲法記念日に、このブログで以下の記事を書きました。

憲法記念日に、平和憲法を省みる! | ITで第二の人生を切り拓く、シニア起業家ブログ
施行後半世紀以上が経過しているにもかかわらず、一度も改正されず、憲法の原本は歴史的仮名遣いで、漢字表記も当用漢字以前の旧字体を使っているまま放置されているというのは、常識的に考えて如何なものか、とは思 …

以下は、このブログ記事の中で憲法9条について書いた部分です。

日本国憲法第9条は、憲法前文とともに三大原則の1つである平和主義を規定し、この条文だけで憲法の第2章(章名「戦争の放棄」)を構成しています。

この条文は、「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」の3つの規範的要素から構成されています。

日本国憲法を「平和憲法」と呼ぶのは憲法前文の記述およびこの第9条の存在に由来しているわけです。

三島由紀夫にとって、この憲法第9条にある規定が、自衛隊の存在と自己矛盾していることに我慢がならなかったのです。

これは何としてもあるべき姿に改憲しなければならない、とする強い信念というか執念が、常軌を逸した行動に駆り立てたとしか思えません。

憲法改正は誰の務め?

三島事件からもうじき半世紀が経とうとしています。

現行憲法施行後、まもなく70年、この間に一度も改正されず、憲法の原本は歴史的仮名遣いで、漢字表記も当用漢字以前の旧字体を使っているまま放置されているのが現状です。

これまで改憲が後世に先送りされ、放置され続けているのは、常識的に考えて如何なものか、と思います。

憲法解釈の違いで、集団的自衛権が許容される云々の議論がありますが、これまでの歴史を考えると、やはり姑息な手段に思えて仕方がありません。

日本という国の基軸を定める憲法について、長い時間がかかっても議論を尽くし、もっとよいものにして後世に残すのが立法府を司る人達の責務ではないでしょうか。

時まさに衆議院総選挙の公示を控えています。改憲については争点になっても、票にはつながらないせいか、選挙で大きく扱われることはありません。

しかし、我が国にとっては、大変重要なテーマであると思う、三連休明け11月最終週スタートの朝なのでした。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
 
 
・・・・・・・・・・・・
(2014.11.25記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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