さて、昨日のブログ記事で、「政府関係機関地方移転基本方針」が決定され、文化庁の京都移転が正式に決まったことをご紹介しました。
この基本方針に対して、新聞各紙がさまざまな反応を示しています。今日は、その内容を見てみることで、今後の課題を改めて整理してみたいと思います。
新聞各紙の反応
日経新聞「政府機関の移転にとどめるな」
研修所など東京やその周辺に立地する必要性の低い機関がまだまだある。さらに移転機関を増やすべき。
国会対応や危機管理の面で地方に移しづらい業務がある一方で、地方への移転は政府内の仕事の進め方や職員の働き方を見直すきっかけになるはず。
ただ、経済産業省などの出先機関の強化を打ち出した点については、下手をすると行政の肥大化を招く。地方分権にも逆行しかねない。
産經新聞「かすむ地方創生の目的 役所の焼け太り懸念消えず」
今回の基本方針の目玉である文化庁を除けば、他の政府機関の移転内容は乏しく、代替措置として示された出先機関の強化は、かえって役所の「焼け太り」につながる懸念がある。
移転方針は今後、政府全体でICT(情報通信技術)を活用した遠隔地勤務の実証実験を進め、公務員の「働き方改革」につなげる狙いも示したが、「東京一極集中の是正」という地方創生の目的がかすみつつある。
読売新聞「省庁移転で地方創生…『効果は未知数』の声も」
安倍内閣は省庁移転を看板政策「地方創生」の起爆剤としたい考えだ。ただ、政府内には「効果は未知数」との声もあり、他省庁の移転につなげるには課題も多い。
文化庁移転については、誘致した京都府が文化庁をどう活用し、地域の活性化につなげるかは今後の検討に委ねられており、明確な将来像は見えていない。
毎日新聞「『東京集中』是正遠く…4庁見送り」
今回の基本方針では、東京一極集中を是正する「地方創生」への効果は不透明。
政府は企業に本社機能の地方移転を呼びかけており、政府機関も「範を示さないと説得力がない」(石破茂地方創生担当相)と検討してきた。
唯一決まった文化庁の移転も、全機能を移す「全面」移転ではなく、国会対応が必要な部門は東京に残す方針だ。
一方、地方紙では以下のような報道がされています。
中國新聞「国機関の地方移転 これで終わりにするな」
信濃毎日新聞「国機関の移転 肩透かしで終わるのか」
見えてきた今後の課題
各紙の反応を見ると、「地方創生」の本来の目的である「東京一極集中の是正」に繋がるかは不透明、とする見方が大勢を占めています。
やはり、本格的な移転決定が文化庁1つに留まったことに対して、肩すかし感を覚えた感は否めません。
また、政府機関の地方出先機関を充実させる、ということは行政の肥大化、焼け太りに繋がるという懸念が示されています。
一方で、地方への移転は政府内の仕事の進め方や職員の働き方を見直すきっかけになる、という期待も書かれています。
お役所仕事の仕方、という固定観念を覆す新たな役割が、政府機関の地方移転には秘められています。
また、実際に地方勤務を経験し、各地に出張してきた身で言わせて頂くと、身近に自然がたくさんあり、生活コストも安い地方に身を置くことは、実際に体験しないと分からない、その地方の良さを理解する絶好の機会になるはずです。
いずれにしても、政府機関の地方移転は、今後も政治の指導力を発揮して、粘り強く取り組んで欲しいテーマです。
僕と同年代の石破茂地方創生担当大臣には、法案読み違えなどの失態を乗り越えて、大いにその実力を発揮して欲しいと切に願う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.3.25記)