さて先日来、三菱自動車工業による燃費データ偽装に続いて、スズキでも国が定めた方式と異なるテストで得た燃費データを提出していたことが発覚しました。
これまで、高品質を誇ってきた日本の自動車ブランドが揺らいでいます。
そこで今日は、地方で頑張る製菓メーカーのリスクマネジメントから学ぶことについて書いてみます。
誰もが知るブランド「白い恋人」
北海道といえば銘菓の宝庫ですが、その中でも抜群の知名度を誇るのが「白い恋人」です。
その「白い恋人」は、今年で発売40周年を迎えるそうです。今や海外でも人気のこのお菓子を製造・販売しているのが石屋製菓株式会社という会社です。
「白い恋人」は、「北海道に来ないと買えないお菓子」というスタンスを発売当初から貫き、北海道土産の定番としてその地位を築いてきました。
最近では、訪日外国人観光客 (インバウンド) にとって「白い恋人」は、「北海道土産」ではなく「日本土産」になっているので、今では日本全国の11国際空港の免税店に置くようになったそうです。
「白い恋人」不祥事の危機
その「白い恋人」が直面した危機がありました。
2007年8月に発覚した賞味期限偽装問題です。それまでの15年にも及ぶ賞味期限の改ざんに加え、他の商品も最大で2ヶ月間賞味期限が延長されたことまで発覚してしまいました。
問題は大々的に報道され、「白い恋人」は「黒い恋人」とまで揶揄されるようになるほど信用を地に墜としたのです。
このとき、石屋製菓は実に迅速な対応をとりました。
まず、創業家出身の社長は問題発覚 (マスコミ) からわずか3日で引責辞任を表明し、外部 (取引銀行) から社長を招いたのです。創業家の影響を排除するため、役員5人中4人の親族も退任させられました。
これで、社員全員が「安心・安全・コンプライアンス」という言葉で一致団結できたといいます。
これに加えて、賞味期限の個別包装紙への印字、週一度のコンプライアンス会議開催、品質管理部・経営管理部の設置など、具体的な問題解決策を1ヶ月以内に次々と実行し、公に発表しました。
その結果、3ヶ月後の操業再開時には、商品の売り切れ店舗が続出したといいます。
2008年に59億円まで落ちた石屋製菓の売上高は、2014年時点で106億円と倍増しています。
リスクマネジメントの大切さを学ぶ
石屋製菓は、創業家が支配する企業でした。
危機に陥った老舗のブランドを守るため、意思決定権・企業支配権の外部移譲 (一部移譲含め) など、創業家にとって痛みが伴うのは必須です。
自ら起こした困難を乗り越え、時代の変化と共に新しい風を会社へ吹かせるため、ファンのため迅速かつ具体的な施策を実施することが大切だったわけです。
石屋製菓では、すべての情報を従業員に開示して共有することがリスクマネジメントを行う上で大切にしていることだそうです。
三菱自動車工業やスズキなども、偽装が明らかになった時の経営陣の初動対応が異なっていれば、もう少し異なる展開になったかもしれません。
今後の地方創生に取り組む上で、地方の企業はさまざまな問題を乗り越えないといけないでしょう。
リスクマネジメントにおいては、石屋製菓の事例に学ぶべき点が多いと感じます。同社同様、各地域で頑張る地元企業には、何があっても迅速な対応で乗り越えていって欲しいものです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.5.22記)