さて、中央省庁の地方移転については、文化庁の京都移転が決まっただけで、あとはなかなか進展が見られません。
そうした中で、移転の実証実験が開始されている消費者庁の移転を巡って、徳島県内の女性が誘致PR活動に乗り出したというニュースに注目してみました。(こちらの記事参照)
徳島県が進めている誘致活動
政府は2015年3月、地方創生の実現に向けて、「東京一極集中」を是正するため国の機関の地方への移転を積極的に進める方針を掲げ、誘致を希望する道府県を募集しました。
政府の募集に対し、2015年8月までに42の道府県から69の機関について誘致の希望が出され、徳島県は「消費者庁」と、全国の消費生活センターの相談内容を集約している「国民生活センター」の誘致を希望しました。
消費者庁の誘致を希望する理由について徳島県は、食品偽装を防ぐため特産のわかめの認証制度を取り入れるなど消費者行政で積極的な取り組みを行っていることや、場所を問わない働き方、「テレワーク」などの実現に向けて通信環境の整備に取り組んでいることを挙げています。
そして、「消費者庁等の徳島誘致」実現に向け、設立の運びとなった「『消費者庁・国民生活センター等』徳島誘致協議会」の初会合が、2016年2月12日に開催されました。
初会合では、「新しい人の流れの突破口を徳島から切り拓いていきたい!」との想いを具体的に記載した「行動宣言」が全会一致で承認され、「産学官金労言」が連携し、おもてなしの精神に溢れた万全な受入れ体制の構築をはじめ、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの徳島誘致の実現に向けた行動に挙県一致で取り組むことが宣言されました。
「vs東京 ウーマンプロジェクト」始動!
そして、徳島県内の大学教員や企業代表を務める女性4人が、地方創生の機運を高める活動「vs東京 ウーマンプロジェクト」を開始したのです。
第1弾は、県が誘致を進めている消費者庁移転の取り組みのPR活動です。この活動では「Women Project (ウーマンプロジェクト) 」の頭文字「WPjt」と県のマスコットキャラクター・すだちくんをあしらったバッジ千個を作製し、誘致のメリットや必要性を呼び掛けています。
こうした取り組みについて、県地方創生推進課は「県民が新たな行動を起こしてくれることに感謝する。この心強い取り組みを糧として徳島移転の早期実現につなげられるよう、全力を尽くす」としています。
最後に
消費者庁の徳島移転が実現するかどうかは、予断を許しません。
特に、消費者団体や日弁連は「各省庁との連携や、消費者の生命に関わる緊急事態への対応で、役割を十分に果たせなくなるおそれがあり、消費者行政の後退を招く」として反対しています。
中央省庁の地方移転について、効率性にだけ着目すれば、東京に集中している方が良いに決まってます。
一方で、行政の中枢機能が東京に集中しているリスクを考えなければなりません。首都直下型地震や大規模テロにより、中枢機能が麻痺する恐れもあるからです。
そうした中で、地方が官民挙げて誘致に熱心に取り組むことは、移転の実現に欠かせないことでしょう。
徳島県の女性が、誘致PR活動に乗り出したということは、大きな援軍を得たと言えます。
消費者庁の徳島移転については、今年 (2016年) の8月末までに結論を出すとしています。その結果に注目したいと思います。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.5.23記)