さて今日は、鹿児島県長島町、群馬県南牧村、佐賀県武雄市の3市町村にて、民間企業が運営する通信制高校の教育システムを活用した教育拠点が順次開設されることが明らかになった、というニュースに注目しました。(こちらの記事参照)
都市部と地方の教育格差をネット教育で解消
カドカワ(株)は、各地にネット教育を活用した教育拠点をつくる「Nセンター」プロジェクトを開始しました。
「Nセンター」は、各地方自治体とドワンゴ、カドカワが開校した「N高等学校」が連携して開校する地域の教育拠点だそうです。
日本の少子化が進み、小中学校、高校の統廃合が進み全自治体の1/4で高校が廃校になっています。
これにより地域間で教育格差が生じ、教育場所を求めて高校のある地域へ家族で引っ越す事例も増えているとか。
Nセンターでは、各地方自治体の協力を得て空き施設を有効活用し、N高等学校のウェブ授業のシステムを受講できるようになるほか、職業体験やプログラミング学習の機会も提供し、若者と地域住民が交流できる新しい拠点を目指しています。
高校や教育機関がない地域にネットを活用した教育拠点をつくることで、通信制高校生が通える場所となるほか、都市部と地方で広がる教育格差の問題を解消したいとしています。
Nセンターの特徴
★ ネットを活用した公営の学習塾
N高等学校が提供している双方向の課外授業アプリを授業に活用。大手予備校講師の受験対策授業などをNセンターでネット受講できるほか、チューターによる自学自習のサポートを受けることができる。
★ 職業体験やプログラミング学習などキャリア学習センター
地域ならではの仕事を知ることができる職業体験のスタディ・ツアーを企画するほか、IT技術が学べるプログラミング講座なども実施し、就職に活かせる学習機会を提供するキャリア学習センターとしての機能を持つ。
★ 通信制高校の生徒が通える拠点
通信制高校の生徒が、チューターに指導してもらいながらネットで学ぶことで、高校がない地域でも移住せずに高校卒業が得られる拠点を実現。
3つの市町村にNセンター開設決定
鹿児島県長島町、群馬県南牧村、佐賀県武雄市にNセンターを開設することが決定しました。
鹿児島県長島町は、7月にNセンター長島 (仮) を開設するほか、群馬県南牧村では教育拠点の開設に加え、高校生や大学生が村の活性化に取り組む行政職員の職業体験ツアーを実施する予定としています。
最後に
実際の高校を作ることができないため、空き施設を活用し、ウェブ授業を受講できる環境を整え、更に職業体験という実学も学ぶことができるようになるのですね。
ある意味「ふるさとサテライトオフィス」の高校版といえるかもしれません。
ただ、クラブ活動など生徒同士の交流を通じて育まれる友情や、その年代でなければ味わえないいろんな経験を積めないのでは、という懸念も残ります。
そして、ネット高校を卒業した後の進路はどう想定しているのか、気になります。
大学は東京を目指すということであれば、東京一極集中の流れは変わりません。
高校卒業後に地元で就業する、あるいは地元の大学に通う、といったルートが確立しないと、折角の取り組みが勿体ないように思います。
各自治体が中心になって、時間をかけて充実させて欲しいものです。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.5.30記)