さて、昨日は「地方創生」に必須の「稼ぐ仕組み」を学べる事例が、東洋経済オンラインに掲載されていたので、その内容を確認しました。
今日も続けます。
美食をポイントに成長を続けるヨーロッパの地方都市②
東洋経済オンラインに掲載された記事のタイトルは『「美食」で自立するスペインの地方都市に学べ』です。
記事には、人口が少ないながらも成功したヨーロッパの地方都市の取り組み事例として、まずスペイン・バスク自治州のサン・セバスチャンが紹介されていました。
次に紹介されていたのは、サン・セバスチャンから車で30分ほどの距離にある、オンダリビアという小都市です。
サン・セバスチャンの人口は18万人でしたが、オンダリビアはさらに少ない1.6万人です。(クリックで拡大)
対岸に見えるのはフランスという、まさに国境の港町です。しかし、小さい町といっても暗いイメージはまったくないとか。
また、小さな港町であるものの、しっかりとした調理技術を持った、訪問するに値するすばらしいレストラン、バルなどが存在するそうです。
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また、この町は観光地というより、保養地としてのポジションを獲得しています。
夏には保養地としてスペイン、フランス両国から多くの人が訪れています。そのため、立派なセカンドハウスが多数存在し、そこから自治体に固定資産税収入がもたらされます。
また、長期滞在中は、おいしいレストラン、センスのいい市街地の小売店などで消費行動が増えて、結果として地元産業の発展に貢献すると共に、売上税収入をもたらしています。
小さくても「誰」をどのように集め、どのようにおカネを落としてもらうかを考える。そうすれば、できることはあるわけです。いや、むしろ小さいからこそ、このような特化型の都市ができるとも言えます。
日本の地方にある世界に誇るべき文化
では、サン・セバスチャンやオンダリビアは、ヨーロッパだから成功したのであって、日本ではダメということでしょうか。
いや、決してそんなことはないはずです。
記事には、新潟県魚沼郡に昨年開業し、話題を集めている宿「里山十帖」を訪れた模様が掲載されています。
江戸時代以前にあった地野菜を地元農家の人々と復活させ、かつての醸造技術も再生させ、それらをもとに質素だけれども、手のかかった絶品の料理を出されているとか。
(画像出典元はこちら)
トロもA5級の肉も出てきませんが、その旬の地元のものをいただける、まさに日本が誇るべき御馳走がそこにあります。平日にもかかわらず、アジア各地からのお客様もいらしていたそうです。
最後に
それぞれの地域に根付いている、深い地域文化性こそ、価値のあるコンテンツです。
地域で受け入れ可能なほどの少数の観光客であっても、着実に観光消費を稼ぎだす仕組みは、小さな地域でも十分に可能なのだと、記事では力説しています。
今後、日本が観光立国として発展していくためには、外国人観光客がいかにリピーターになってくれるか、すなわち何度も日本を訪れたくなるように魅力ある地域をどれだけ増やしていけるか、にかかっていると思います。
そして、景勝地にバスで来て見物して、またバスで次の場所に移動するのでは、大きな消費は生まれません。通過型ではなく滞在型の観光をしてもらわなければ、その地域の「稼ぐ力」は大きくなりません。
スペインの2つの小都市、そして日本の「里山十帖」の事例は、地域特性を生かし、知恵を絞ることで「稼ぐ仕組み」を工夫して作り上げている好事例です。
これから各地域で、そうした知恵・工夫を発揮する必要がありますが、そのためにはやはり「人」のチカラが必要です。
すぐに結果が出るものではないですが、長い目で地道に人材育成を進めていくことが重要であるな、と思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.6.10記)