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地方創生・・・ “地方創生推進交付金” について “使い勝手が悪すぎる” と募る地方自治体の不満、このままでいいのか?

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アイキャッチ画像(画像出典元はこちら)

さて、当ブログでは「地方創生」に関する交付金について、たびたびアップしてきました。そこで、常に問題になってきたのは、交付金・補助金頼みの地方自治体の取り組み姿勢でした。

また、先日全国知事会の会長から、地方に対する財政支援を中心に要望が出されたそうです。

そこで、今日は最近のニュースを見ながら、この問題について考えてみたいと思います。

全国知事会から出された要望

先日 (2016.7.20) 、全国知事会の山田啓二会長 (京都府知事) が内閣府を訪れ、政府が策定を進めている経済対策に関する要請書を石原伸晃経済再生担当相に手渡した、という報道がありました。(こちらの記事参照)

要請書に盛り込まれたのは、6項目で主な項目は次の通りです。

  1. 地域経済を支える中小企業・小規模事業者などへの支援
  2. 地方創生、人口減少対策のための財源確保
  3. 観光立国実現に向けた財政支援

このうち中小企業支援では、生産性向上のための設備投資助成などに使う「新アベノミクス交付金 (仮称) 」の創設を提言し、地方創生関連では、地方への人材還流のための財源確保や「地方創生推進交付金」の拡充などを求めた、とあります。

地方創生支援に800億円の新たな交付金創設

要請書が提出された翌日、政府は自治体の人口減対策などの取り組みを支援する「地方創生推進交付金」を増額する方針を固めた、という報道がありました。(こちらの記事参照)

記事によると、2016年度当初予算で1,000億円を確保していたが、500億円程度増やす方向で調整しているとのことでした。

・・・ところが、昨日 (2016.7.23) になって、政府は地方創生に取り組む自治体の施設整備事業を支援するため経済対策に盛り込む交付金の規模を、国費で約800億円とする方針を固めた、という報道がありました。(こちらの記事参照)

既存の「地方創生推進交付金」の増額ではなく、新しい交付金の創設に切り替え、規模を300億円積み増したのです。

地方創生支援交付金に募る自治体の不満

その背景には、地方自治体で募っている地方創生交付金に対する不満があるのでしょうか。

その不満とは、例えば福井新聞によれば、福井県内の自治体が申請した事業案件について15件が不採択となり、不採択の理由が明らかにされていないことなどがあるようです。(こちらの記事参照)

さらに、2015年度からの交付金について「国が事業内容を限定し、押しつける補助金のようなものだ。地方の創生のはずが、使い勝手が悪い」と制度そのものに不満を漏らす自治体関係者もいるというのです。

県や市町の担当者からも、自治体が主体的に創意工夫するより、画一的な国の方針に即した内容にすれば交付金を得やすい現状に不満が上がっているとか。

これまでの交付金は?

地方創生に関する交付金は、各自治体が策定する地方創生の総合戦略に盛り込んだ施策を支援するため、2014年度に1,700億円の「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」(地方創生先行型) が創設されました。

2015年度に1,000億円の「地方創生加速化交付金」、2016年度にも1,000億円の「地方創生推進交付金」が設けられ、2016年度分については先日1次募集が締め切られました。

締め切りまでに、648自治体 (44都道府県と604市区町村)から計455億円分の申請がありました。これから政府による精査を経て、8月中に配分先と金額が決まる予定です。

また、2016年度分の交付金は、制度が見直されました。

2015年度までは事業費の全額を賄えましたが、半額までとされ、半額以上は自前で準備しなければならなくなったのです。

ある自治体関係者は「さらに使途が限定される補助金に近い形になった。使い勝手が悪すぎる」と抜本的な制度改革を訴えているそうです。

今回新たに創設された800億円の交付金は、地方自治体の施設整備事業を支援するためとありますが…

国の意図を地方が理解していないのか?それとも・・・

2015年度に設けられた「地方創生加速化交付金」では、自治体が提出する事業計画申請に、重要業績指標 (KPI) の設定と効果検証の仕組みが初めて取り入れられました。

それまでの補助金・交付金については、そんな仕組みは存在しませんでした。民間事業者の感覚では、信じられないことです。事業計画を立て、結果としてその事業が上手くいかず、赤字が続いたら、きっとその事業責任者は更迭されるはずです。

しかし、過去そうした検証は行われず、結果失敗事例として報告されるケースが皆無という信じられないことが通用していました。それが、お役所の世界だったのです。こうして「やりっ放しの行政」が放置されてきたわけです。

それを是正しようと、政府は重要業績指標 (KPI) の設定と効果検証の仕組みを導入したのだと思いますが、自治体側としては交付金が支給されるように、かなりの作文を強いられ、結果として使いにくい制度と受け取られているようです。

国は地方自治体に一任するわけにいかず、チェックを入れる。地方自治体は、そんな国のやり方に不満を募らせる・・・うまくないですね。

新たな交付金の創設が、問題解決に結びつくのでしょうか?

当ブログでも、何度か書いているように、地方自治体が成熟し、中央に集中している権限と財源を地方に移譲する「地方分権」が行われないと根本的な問題解決にはならないと思います。

それができてこそ、真の「地方創生」が叶うように思う次第です。

・・・・・・・
というわけで、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
 
 
・・・・・・・・・・・・
(2016.7.24記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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