Challenge Next Stage 〜目指せ!出版への道〜

地方創生・・・東洋経済が指摘する、地方創生加速化交付金1,000億円交付先リストに潜む問題点とは?

0

0

0

0

0

アイキャッチ画像

さて今日は、「東洋経済ONLINE」に先日掲載されたこちらの記事について、その内容を見てみたいと思います。

「地方創生加速化交付金」とは?

これまでこのブログでも何度か、平成27年度 (2015年度) の補正予算として組まれた「地方創生加速化交付金 総額1,000億円」について書いてきました。ちょっと首を傾げたくなる点について、例えばこちらの記事で書いたように…

「地方創生加速化交付金」は、2015年12月に決定し、年明け早々に各地方自治体に説明会開催、約1ヶ月で申請、約1ヶ月で審査、そして3月中旬に交付先が決定しました。

事業数で1,926件、金額で906億円がまず決定、残額については一定条件を付して再度申請を受け付けるとか。

詳細は、内閣府地方創生推進室が発表した「地方創生加速化交付金の交付対象事業の決定について」をご参照下さい。

そして、平成28年度 (2016年度) 本予算の地方創生関連予算の一部として「地方創生推進交付金」が更に1,000億円決まりました。(こちらの記事参照)

東洋経済が指摘する交付金交付先リストに潜む問題点

東洋経済が指摘している点を要約すると、以下の通りとなります。

  1. 観光振興、移住定住促進、商品開発・販売、高齢者住宅など、地方創生政策の重点分野と国が掲げている分野に申請事業が偏り、結果として認可を得やすい似たような事業が並んでいること
  2. 事業計画に設定を義務付けられた重要業績指標 (KPI) は、定量化指標として本来経済面でのプラス効果や税収増といった金額面で設定されるべきだが、例えば観光事業では、宿泊者数や観光客数といった人数を設定していること
  3. また、その事業内容とKPIが直接結びつかないケースがあり、どれだけその事業で成果を生み出したか、そもそも測れない数字を目標に設定している。よりシンプルに「地域の稼ぎ」を捉えることができる指標にする必要がある
  4. 中には、新たな施設に3,200万円を投じ、外国人観光客年間20人、日本人観光客100人を呼び込むことを目標にしている事業もあり、こんな数値目標なら知り合いをイベントに呼べばすぐに集まる人数ではないか
  5. このほかに、女性の創業支援事業に3,800万円を投じる事業があり、創業支援に必要な専門家を地域外から招聘したら、資金が外部流出してしまい意味がない

そして、こうした官の取り組みの対比となる、民間の取り組み例として秋田県の「シェァビレッジ」を取り上げています。

「シェァビレッジ」については、当ブログのこちらの記事でご紹介していますので、ご参考まで。

この対比により、「どちらが地方活性化に有効であるかは言うまでもない。あくまで地方創生政策で提案されている事業の計画、目標、推進方法に問題があるのだ。」と指摘しています。

記事は、最後にこう結んでいます。

地方創生で本来必要なのは、地方として企画を磨き、地域に投資と消費を集め、絶えず回す仕組みを作ることです。

しかしそうではなく、税金で採算度外視の観光客向け、都市部向けサービスが散見される今回の交付金リスト。逆に、地方創生政策に関係なく、民間が自立して作っている「稼ぐ事業」への期待が際立つ結果になっていると感じるところです。

最後に

「地方創生加速化交付金」の事業計画申請にあたっては、重要業績指標 (KPI) の設定と効果検証の仕組みが初めて導入されました。

今までの補助金・交付金については、そんな仕組みは存在しなかったのです!

民間事業者の感覚では、信じられないことです。事業計画を立て、結果としてその事業が上手くいかず、赤字が続いたら、きっとその事業責任者は更迭されるはずです。

しかし、過去そうした検証は行われず、結果失敗事例として報告されるケースが皆無という信じられない世界でした。こうして「やりっ放しの行政」が放置されてきたわけです。

そこに初めてKPIだ、効果検証だ、というお達しがあったのですから、結局は無難に達成できそうな目標数値が並んでしまったことは、想像に難くありません。

いずれにしても、地方自治体が経験を積んで、レベルアップして、KPI設定や効果検証などを的確に行い、PDCAサイクルを回していけるようになれば…

一々事業毎に申請をして、中央の承認を受けて、やっと交付金を受け取るのでは無く、もっと大きな単位で財源移譲を受けて、真の地方分権を実現できるのではないでしょうか。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!
 
 
・・・・・・・・・・・・
(2016.4.28記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

コメント

人生のセカンドステージを、ポジティブ&アクティブに過ごすことを目指して、アラカン(アカウンド還暦)世代の筆者が思いを綴るブログ。
Consulting Office SMART代表/富田邦明が人となりをお伝えするために運営しています。

詳しいプロフィールはこちら