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さて、当ブログでは、先日「地方創生・・・ “国家戦略特区” で推進している規制改革メニューあれこれ」というタイトルで、国家戦略特区シンポジウムの開催時に、山本幸三内閣府特命担当大臣 (地方創生・規制改革) の開会挨拶で用意された資料の内容をご紹介しました。
そのシンポジウムのプレゼンテーションコーナーで発表があった、3人の改革市長による地方創生への取り組みを、今日から3回に分けてご紹介します。第1回は、小泉一成成田市長です。
国家戦略特区シンポジウム概要
先日 (2016.9.12) 、地域限定で福祉や農業などの規制を緩和する「国家戦略特区」に関するシンポジウムが、都内で開催されました。
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国家戦略特区は、医療・農業・都市再生・雇用など多くの分野において、いわゆる岩盤規制に突破口を開くことを目標にしてきました。
今後2年間を、第2ステージ「集中改革強化期間」として、残された岩盤規制改革を断行していくとしています。
成田市の取り組み経緯
成田市の事例のタイトルは、「国際都市NARITAの挑戦 〜国家戦略特区を活用した医学部の新設〜」です。(こちらの資料参照)
かつて、千葉県内の医学部は、千葉大学の1校のみで、人口10万人当りの医師数では、千葉県は全国最下位レベルでした。
しかし、医師数のむやみな増加を抑制するため、文部科学省告示で医学部の設置については規制されていたのです。
成田市では、この状況を改善するため、以前から大学誘致に取り組んできました。
そして、「国際的な医療人材の育成のための医学部の新設に係る基準の特例 (医師の養成に係る大学設置事業)」として、2015年 (平成27年) 11月26日に開催された「区域会議」において認定を受けることができました。
その後、2016年 (平成28年) 8月31日に、国際医療福祉大学の設置が文部科学大臣により正式に認可されました。
医学部のスタートは、2017年 (平成29年) 4月を予定しており、これで38年ぶりに新設の医学部が開学することになります。
新設大学の概要と期待される効果
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国際医療福祉大学は、世界最高水準の国際医療拠点を担う医療人材の育成を図るとしています。
大多数の科目で、英語による講義を実施するほか、定員140名のうち20名は、東南アジアを中心とした留学生を受け入れ、将来母国の医療分野のリーダーとなりうる人材を育成するなど、グローバルな展開を目指しています。
そして、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年 (平成32年) には、640床規模の医学部附属病院を開院する予定です。
今回の医学部新設決定により、期待される効果は以下の通りです。
- 医療産業の集積と輸出の拡大
- 医療ツーリズムの拡大
- 国際的な医療人材の流入・育成
- 国際的な医療学会等の開催
- 経済波及効果 (※1)
- 人口の増加 (※2)
(※1) 建設時=最大で857億円、消費時=最大で211億円/年 (千葉県内の最大需要として試算したもの)
(※2) 教職員 (4,282人)+学生 (756人) + 雇用 (3,194人)= 8,232人の人口増加
まとめ
国家戦略特区は、第2次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域法2条で地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区 (特別区域) です。
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既得権益を守りたい勢力からは、いろいろ批判を浴びていますが、いわゆる岩盤規制を守っている族議員・規制官庁・既得権益層の三位一体のスクラムを突破するには、政権が不退転の決意を持って取り組むことが肝要でしょう。
また、個別事案については、いかに中身を骨抜きにされないかがポイントです。成田市の取り組みも、これからまだまだ紆余曲折があると思いますが、当初の目論み通りの効果が出ることを願っています。
さて、成田市の取り組み事例に続き、次回は仙台市の取り組みを見てみたいと思います。
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では、今日はここまでにしましょう。
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(2016.9.22記)