Challenge Next Stage 〜目指せ!出版への道〜

018 【ITおじさんの、楽に・楽しく・情報化 (2) 】プロローグその1・・・

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プロローグその1 「我、如何にして、ITおじさんとなり得たか?」

前回のアップでは、以下の内容をお知らせしました。

このブログを楽しんで頂いて、そしてちょっとした使いこなしで世界が広がる楽しさを、少しでも多くの人に味わって頂きたいと考え、連載を開始することにしました。
・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・
次回は、当方がどうしてITおじさんになったのか、今回作成した「自分史」を一部紐解きながらご紹介してみようと考えています。その上で、PCやインターネットの影も形も無かった新入社員時代から現在に至る経緯の中で、どのように皆さんにお伝えしたいことが育まれてきたのか、ご理解を頂ければと思っています。

というわけで今回から複数回に分けて、当方がこの連載を開始するに至った背景をアップします。一つの歴史読み物として楽しんで頂ければと思います。<(_ _)>

 

Ⅰ. OA (*) 暗黒時代から黎明期へ

(*) 昔々ITという言葉はなく、事務作業の自動化を目指していたオフィス・オートメーション(Office Automation = OA)という言葉がありました。

当方が文系の学部を卒業し、ある商社系総合リース会社に就職した1978年当時 (*)、会社からは算盤 (そろばん) が支給され、電卓は自己調達という時代でした。その頃の電卓は今と違って6桁が当たり前、最大8桁のものが1万円以上する代物でした。当然新入社員に買えるはずもなく、必要な時は先輩から借りるという悲しい環境でした。

(*) この年は、日中平和友好条約が調印され、東京・原宿に竹の子族が登場しました。

営業部門に配属され仕事を覚えていくうちに、段々と厳しい世界に足を踏み込んでいくことになります。当時所属していた部署の隣の船舶ファイナンスを扱う部署のお仕事を手伝わされることになったのです。その頃の様子を「自分史」から一部引用してみます。

船舶ファイナンスでは、長期の融資契約が殆どで、10年120ヶ月元金不均等返済、貸出利率は途中変更あり、等の条件が多く、まずその返済一覧表を電卓と集計用紙で作成し、その予想利益を商社風の計算方式で出さなければならなかったのである。

それは社内金利と呼ばれる一定の利率で、120ヶ月毎月の返済額を現在価値に割り戻し、収入と支出の現在価値を比較し差額を求めるというややこしい計算である。

計算結果は検算して間違いがないか電卓を叩くのだが、何度やっても結果が合わないのである。終電もなくなり、集中力もなくなり、朦朧としながら電卓を叩き、会社のソファで寝たこともあった。

どうです?PCもExcelも影も形もない時代です。今思えばよくぞ電卓でこなしていた、と思える作業です。

そうして残業続きの日々を過ごす中で、ある転機が訪れることになります。
それは・・・

その頃、YHP (横川ヒューレットパッカード) からロールタイプの感熱紙に印字するタイプの大型卓上プログラム電卓が発売され、会社に導入されることになった。通常のリース採算計算などのプログラムが企画開発課というところで開発され実際に業務で使われるようになる。

ややこしい計算で疲れ切っていた自分は、これを使えば楽になる!早く帰れる!ディスコにも行ける!と即座に判断し、企画開発課の担当者にお願いしてプログラム方法を教えて貰うことにしたのだ。「GoTo」コマンドや「GoSub」サブルーチン等、耳慣れない言葉と格闘し、プログラムを試行錯誤で作成したものである。

なんとか出来上がったプログラムは何度もデバッグ (*) が必要であったが、悪戦苦闘した10年120ヶ月の金利計算・現在価値計算が大型のプリンターからものの数十秒で連続帳票に打ち出された時は、人知れずその感動に打ち震え、喝采を送り、ガッツポーズをしたのであった。

(*) デバッグとは、バグ(虫)と呼ばれるプログラムミスを一つずつ修正していくこと

どうでしょう?まさしく今の自分に至る原点がここにあります。理系出身でもなくシステムとは無縁の営業部門に配属された当方が、今ある仕事を如何に「楽に・早く・間違いなく」片付けるため、機械に出来ることは機械にやらせることに熱心になったか・・・

その後、コンピュータを如何に活用して効率化を図るか、そしてできた時間を新しい仕事に取り組むことに費やすか、この命題に取り組んだのがその後30年以上に亘るサラリーマン生活だったと思います。

(YHPの大型卓上プログラム電卓をネット上で検索したのですが、古くて見つけられませんでした。^^; )

この頃、相前後してワープロ専用機が導入されました。それまで使われていた和文タイプライターを模したモデルで大きさは事務机1ケ分、タッチペンで漢字が表示されたシートを一つひとつタッチしていくペンタブレット方式と呼ばれるタイプでした。価格はなんと300万円近く(!)していたようです。

 

Ⅱ. 関西で迎えたパソコン誕生期

入社して5年経過した1983年 (*)、大阪支店に転勤になりました。

(*) この年は、4月に東京ディズニーランドが開園し、9月に大韓航空機撃墜事件が起こった年です。

東京生まれの東京育ちの人間にとって初めて経験する浪速の世界は戸惑うことだらけでした。そうした環境で商慣習に慣れるうちにパソコン誕生期に出会いました。そして、それが当時営業マンだった当方の仕事に大きな成果をもたらすことになるのです!

それではちょっと長いですが、再び「自分史」から引用してみましょう。

仕事の面では、コンピュータを活用して多大な業績を挙げたことがある。西川きよし似の得意先の人は、神戸を本社とする全国区の飲料メーカーの方で、おびただしい数の自動販売機を全国に展開し、それを巡って多くのリース会社が分捕り合戦をしていたのである。

自動販売機は1台では数十万円であるが、年間何万台も展開するのであるからそれはそれは大変な金額になる。リース契約では1ヶ月分の設置分を纏めて1契約とするのであるが、1台1台に保険をかける関係上、全台数分の明細を添付し設置場所住所の他、自販機を特定するための型式・機番を記載していたのである。明細はメーカーから貰った設置報告書を元にワープロで作成していた。

自動販売機は屋外に設置されることが多く、現金が投入されるので、中のお金目当てに頻繁に壊されていた。そのたびに保険金請求手続きをするのだが、その自販機がどの契約に該当するのか探すのも手作業で膨大な手間が掛かっていた。

そこで登場したのが国内メーカーのSORD社が独自に開発したパソコンである。PIPSという独自OSを搭載し、行列単位の表計算を実現していた。最初は8インチというLPサイズのフロッピーディスクで64Kbite位の容量しかなかったのではないか。

会社で試験的に導入したSORDパソコンを使わせて貰い、当時契約していた自動販売機の明細を全て入力し、新規契約の物件明細を作成すると共に、データベースとして活用、保険事故が起こる度に検索し飛躍的に効率が高まることとなった。

次第に8インチフロッピーが5インチとなり、容量も増えてきたものの、とても1枚のフロッピーに収まる台数ではなくなり、またまた残業して複数のフロッピーをとっかえひっかえして処理する日々が続くことになった。

思いあまって本店の情報システム部門に相談。これをホストコンピュータでデータベース化すれば、客先に自販機データの一元管理を提案できる。うまくいけば自販機リース契約を一気に独占できるかもしれない。そうしたら利益が数億円単位で上がる。等と、本当は自分が楽になりたい一心なのに、さも会社のためになるような法螺を吹いたら本当に実現してしまうことに。

一気にデータベース化が進んだので、法螺を吹いてしまった手前、客先を口説かねばならない。そこで、都道府県別展開台数や支社別管理状況等複数のフォームを連続帳票用に作成し、そのプリントアウトを客先に提示。当社に全台数任せてくれれば御社内部の管理もすご〜く楽になりますよ、等と吹聴する。

それから数日後・・・客先から今後のリース契約は全てそちらに任せる、との連絡が!!
なんと独占契約がとれてしまう。それからは仕事は楽になるわ、営業目標は達成できるわ、(ボーナスはちょっと増えただけだが・・・) で、結局この会社の契約だけで、自分の生涯収入以上の額の利益は十分に出たと思う。

・・・というわけで「とにかく楽になりたい!」一心から取り組んだことが思わぬ成果に繋がったのです。これが自分を更にコンピュータ活用に向かわせる決定的な出来事になりました。

(SORD社のパソコンをネット上で検索したのですが、該当機種が古くてこれも見つけられませんでした。^^; )

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、プロローグはまだ続きます。長くなりましたので、ここで1回アップすることに致しましょう。

続きは来週金曜日にアップする予定です。

前回のアップで更新は不定期と書きましたが、これからのアップは週刊とし毎週金曜日に掲載したいと思っています。

それでは、「プロローグその2」に続きます!

【ITおじさんの、楽に・楽しく・情報化】シリーズ
(1) シリーズ開始にあたって
(2) 「我、如何にして、ITおじさんとなり得たのか?」プロローグその1
(3) 「我、如何にして、ITおじさんとなり得たのか?」プロローグその2
(4) 「我、如何にして、ITおじさんとなり得たのか?」プロローグその3

 

(2013.1.4記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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