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さて、これまで3回連続で、総務省から鹿児島県長島町に派遣され、弱冠30歳で副町長になった井上貴至さんの活躍ぶりをご紹介してきました。(記事①、②、③)
今日は4回目、最終回です。
これまでご紹介してきたこと
これまでの3回で、井上さんの経歴や、若者の人口増を目指した「ぶり奨学金プログラム」、移住の壁を低くする「階段作り」としての「獅子島の子落とし塾」などユニークな発想による取り組みをご紹介してきました。
努力の甲斐があって、楽天出身の起業家や、DeNAを辞めた人材が長島町にやってきました。そうした結果を出してきた井上さんですが、「地方創生人材支援制度」第1号として派遣されたこともあり、赴任期間は限られています。
これからの井上さんは、どうするのでしょうか?また、井上さんが去った後の長島町はどうなるのでしょうか?
ユニークな人材が長島町にやってきた
現在、全国の自治体が「地域おこし協力隊」を募集しています。長島町にもユニークな人材が応募してきます。もともと楽天で担当する商品の販売実績日本一になり、ネット事業で独立した起業家が応募してきたのです。
今は、漁協で一緒に株式会社をつくってECサイトを立ち上げたり、カドカワとインターネット高校の地域拠点であるNセンターを形にする仕事をしているそうです。
物理的な距離を埋めることができるので、ネットと田舎は相性がいいわけですが、これまで長島町にはネットのプロがいなかったため、彼は大変な戦力になっています。
他にも30件以上の応募があり、実際に地域おこし協力隊になってもらうのは、今年7月の時点で8人を予定しているとか。なかには日立関連の元部長さんや、DeNAをやめてきた27歳の若手もいます。
日立関連の元部長さんは、もともと隣の市の出身で、家族から最近長島町が面白いと話を聞いて応募してきたそうです。いま長島町では、発電や排熱利用を目的としたバイオマス施設を作る計画があり、自分の持っている技術や知識をそこで活かせるのでは、というのが応募理由です。
井上さんの赴任期間は2年、2016年度いっぱい
井上さんは、総務省時代に自らが発案した「地方創生人材支援制度」の第1号として、2015年4月、長島町に派遣されました。ということは、いずれは総務省に帰らないといけないわけです。
その任期は2年、つまり2016年度いっぱい (2017年3月まで) ということになります。
問題は、井上さんがいなくなった後の長島町です。さまざまな取り組みは大丈夫なのでしょうか?
それに対して、井上さんは次のように話しています。
ぶり奨学金プログラムのようにずっと続く仕組みをつくってきたので、そこは問題ないと思っています。また、僕がいなくても、地元の方が面白いことをやりたいと動いてくれているし、外からも人がやってきています。
さらにいうと、僕自身、任期が切れて「ハイ、終わり」にはしたくないのです。やりっぱなしではダメだし、自分自身の成長にもつながらない。一度関わったからには、プライベートで何でもいいからちょくちょく訪れて、関わり続けようと思っています。
地方創生人材支援制度は全国からいろいろな市町村が手を挙げているので、総務省から後任が派遣されてくるのは制度上難しいです。何らかの形で後継者を見つけて、育てていければいいなと思っています。
最後に
井上さんご自身が語っていることですが、総務省は公職選挙法や税法、地方自治法などの地方行政制度が中心の役所で、現場の地域づくりは主流ではないそうです。
また、そうした中で井上さんは、若手官僚で唯一実名ブログを書いている (面白いですよ!) ので、省内での風当たりが強いのではないかと心配です。
日本の組織は、特にお役所は、井上さんのような発想豊かで新たなチャレンジをしていく人材を押さえつける傾向があると危惧するからです。
そんな危惧を吹っ飛ばして、長島町で挙げた成果を糧に、井上さんが更なる活躍をしてくれることを期待したいと思います。
どうか組織に埋没しませんように・・・
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というわけで、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.7.22記)