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さて、次年度の予算概算要求の時期になりました。先日は、地方創生推進交付金について、前年度当初より170億円増額した1,170億円が計上された、という記事をアップしました。
そして、総務省、文部科学省、消費者庁は、地方への組織移転などの費用を盛り込んだ2017年度予算の概算要求を発表しました。
総務省は1億円を計上
総務省は、民間や自治体に利用してもらう統計局のデータ提供業務の拠点を、和歌山県内に整備する準備費などとして1億円を計上しました。
近く開かれる政府の「まち・ひと・しごと創生本部」で和歌山県への統計局の機能の一部移転が正式に決まれば、同県は、統計局と連携して人材育成や企業などのデータ活用に取り組むプランを発表する、としています。
文部科学省は22億円を計上
文科省は、文化庁の京都への移転準備や機能強化のために22億円を計上しました。22億円のうち、約20億円で主に二つの事業に取り組むとしています。
まず、一つ目は文化財を使った観光拠点のモデルケースの公募です。特定の地域には、外国人向けの案内板を設置するための費用を補助するといった形を想定しています。
二つ目は、文化芸術を使った地方創生モデルの公募です。食文化や美術館などを生かし、地元の経済活性化につながる先進的な事業を10カ所ほど公募して支援する予定です。
残りの約2億円は、先行移転する文化庁の組織の執務場所の賃料や出張費に充てる方針になっています。
消費者庁は2.37億円を計上
消費者庁は、徳島県に新設する政策立案・分析拠点の整備費として2億3700万円を盛り込みました。2017年夏をめどに拠点を設置する計画です。
要求した金額の内訳は、開設経費として9500万円、運営や維持管理などで1億4200万円となっています。
同庁は、徳島への移転をめぐり、3月と7月に県内で「お試し勤務」を実施しました。他省庁などとの連絡・調整に課題があるとして、当面の全庁移転は見送りましたが、政策を実証するための新拠点を徳島に設ける方針を打ち出しています。
ここで十分な成果を得られるかが、3年後をメドに結論を出すとした全庁移転に向けた試金石となります。
最後に
いよいよ中央省庁の地方移転について、具体的な予算が計上されようとしています。
この取り組みについては、当ブログでも度々取り上げてきましたが、文化庁、そして総務省と消費者庁の一部だけでは、東京一極集中を是正するのに、数的に大きな影響はないかもしれません。
しかし、とにもかくにも前に動き出すまでに、大変なエネルギーを必要とした取り組みです。今後は、全省庁・国会などを横断的に結ぶテレビ会議システムの導入など、インフラ面で整えなければならないことも多いでしょう。
それ以上に大きいのが、地方移転を実効性あるものにするのだ、という強い思いを徹底して共有することではないでしょうか。
おりしも9月1日の防災の日には、南海トラフ地震という大規模災害を想定した訓練が実施されました。
大地震などの災害発生時に、政府・行政機関・民間企業の中枢が全て東京に集中していることは大きなリスクです。
このリスクをなんとしても最小化するために、東京一極集中を絶対是正するのだ、という強い決意を共有して取り組んで欲しいと思う次第です。
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さて、今日はここまでにしましょう。
ではまた!
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(2016.9.4記)