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電力会社に原子力発電所を管理する能力はある?なのに、政府はなぜ原発再稼働を急ぐのか?

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さて、ここ数日原発関連のニュースが、次々と目に飛び込んできました。(記事 、)

それもこれも、東京電力が「メルトダウン」の定義を明記した社内マニュアルを5年も経って「発掘」(それまで隠蔽?) してきたからでしょう。

このブログでは、人知でコントロール可能とは思えない原発再稼働に対して懸念する記事をアップしてきました。最近では、次の2記事です。

福島第二原発は、なぜ廃炉が決まらないのか? (2016.2.12)
” 原子炉の日” に思うこと → 順次再稼働が進められていく原子力発電所への拭いきれない不安… (2015.12.2)

1年前に改訂していた「マニュアル」に気づかなかったとは…

2011年3月11日に起きた福島第1原発事故で、本来であれば事故から3日後には核燃料が融け落ちる「メルトダウン (炉心溶融) 」が起きたことを発表できていたことが、2016年2月24日の東電の発表で明らかになりました。

東電は、事故1年前の2010年4月に、「原子力災害対策マニュアル」を改訂したばかりで、その中に「炉心溶融」の定義が記載されていて、そのマニュアルの存在を5年経って「発掘」したというのです。

この発表を聞いた時は、流石に口がアングリ開いたまま、閉じることができませんでした。

要するに、マニュアルを作成すること自体が目的化してしまい、そのマニュアルが有効に活用されることに全く神経を払っていなかった組織であることを自ら告白したことになります。

東電が再稼働を急ぐ柏崎狩羽原発

現在、東電は柏崎刈羽原発の再稼働を急いでいます。

今回のマニュアル「発掘」の大失態は、泉田裕彦新潟県知事が、東京電力に対して「福島第一原発事故の検証」を強く求めてきたことから明るみに出たことです。

安易に「再稼働」を認め、あるいは要望する自治体が数多い中で、「3.11」を見つめ、繰り返さない姿勢を崩していない新潟県の姿勢が、隠されていた真実を浮き彫りにしたと言えます。

柏崎刈羽原発の敷地面積は約420万平方メートルで、1号機から7号機まで計7基の原子炉があり、発電総出力は821.2万キロワット。

1カ所の発電所としては世界最大の発電量だそうです。同じ東電管轄内の福島第二原発の発電総出力が440万キロワット、そして全6基の廃炉が決まっている福島第一原発が469.6万キロワットだったことからも、その規模の大きさが窺えます。

柏崎刈羽原発が稼働すれば、東電の経営を圧迫している火力発電の燃料費を削減でき、1基の稼働で年間1,000億円規模の黒字を確保できるそうです。

これが、東電が再稼働を急ぐ理由です。

「原子力ムラ」に包囲されている自民党議員

自民党が原発をやめられない理由」(2014.2.15) というニュース記事で、一貫して脱原発を提唱し続けている衆議院議員の河野太郎氏が、次のように指摘しています。

電力会社やその関連会社、電気事業連合会と経団連、そして電力会社に依存する企業群や関連団体などから成る「原子力ムラ」は、脱原発を主張する議員に対して、激しいロビー活動を仕掛けている。

多くの若手議員から、「原子力ムラから脅された」などの相談を受けているが、本心では原発をやめるべきだと考えている議員の多くが、こうしたロビー活動のために身動きが取れなくなっている実態がある。

そして、原発の再稼働を容認しないと発言した途端に、議員の集票や資金集めに支障が出てくるといっても過言ではないほどの影響力を「原子力ムラ」は持っているとか。

特にやる気のある新人や若手議員は選挙での支持基盤が脆弱なため、電力会社から「次の選挙では支援しない」と言われれば、政治生命の危機に陥るような議員が大勢いるのが実情だというのです。

ま と め

原発については、運転開始から40年で原則として廃炉にするという「40年廃炉ルール」が、福島第1原発の事故後に作られました。

40年という期間が妥当かどうか、科学的根拠はないとする議論もあります。

そうした中、原子力規制委員会は、福井県の関西電力高浜原発1、2号機について、新規制基準に適合しているとする、事実上の合格証をまとめました。

1、2号機ともに稼働から40年を超える原発ですが、基準を満たせば20年延長できるという特別ルールにより、7月までに追加の審査に通れば、最長20年の延長が可能になるのです。

老朽原発も再稼働の対象となり、「40年ルール」は事実上骨抜きにされつつあります。こうして、日本全国原発フル稼働へと舵が切られつつあります。

そんな中、再稼働した直後の高浜原発4号機で「原子炉が緊急停止」というトラブルが発生しました。

「世界一厳しい安全基準」をクリアしたはずの再稼働ですが、トラブルが続いています。さらに、特別ルールで稼働が延長になった原発もこれに加わるという事態が待っています。

福島第一原発事故をまるで忘れたかのように、40年ルールも骨抜きにして、再稼働や原発輸出にひた走る現実を、このまま許して日本の未来に禍根は残さないのでしょうか?

私たちの子孫に、そんな不安な日本の未来を引き継いでいいのでしょうか?

私たちにできることは何か…それは、これからの選挙で必ず投票し、脱原発の意思を表明するしかないと思います。

・・・・・・・
さて、今日はここまでにしますね。
ではまた!
 
 
・・・・・・・・・・・・
(2016.3.3記)

富田 邦明

IT関係のコンサルタントをしております。
業務効率化・システム改善だけでなく、経営者視点のリスクマネジメントも同時に行い、人とテクノロジーのシナジー(相乗)効果を最大限にすること、そして、活き活きとした雰囲気で働ける環境作りを目指しています。

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